新・北海道現象の深層⑮過疎地に店を出すほど利益が増える? 小売業の物流完全自前化がもたらす多大な恩恵

2020/10/01 05:55
浜中淳(北海道新聞)

北海道現象から20年。経済疲弊の地で、いまなお革新的なチェーンストアがどんどん生まれ、成長を続けています。その理由を追うとともに、新たな北海道発の流通の旗手たちに迫る連載、題して「新・北海道現象の深層」。第15回は、広大な北海道で物流完全自前化することにより、圧倒的な差別化を可能にしたチェーンストアに迫ります。

道内に波紋 アークスからコープさっぽろへ「鞍替え」したスーパー

道北アークスとの提携を解消し、コープさっぽろの実質子会社となった中央スーパーの留萌本店(留萌市内)
道北アークスとの提携を解消し、コープさっぽろの実質子会社となった中央スーパーの留萌本店(留萌市内)

 ちょうど1年前、道北地方のある食品スーパーの業務提携を巡って、道内の業界関係者の間にちょっとした波紋が広がりました。

  コープさっぽろは昨年9月、日本海沿岸の留萌地方に本拠を置く食品スーパー、中央スーパー(本社・留萌市)と業務提携し、共同仕入れや共同配送を開始しました。さらに2カ月後、食品輸入子会社コープトレーディングを通じ中央スーパー株の60%を取得し、役員を送り込んだのです。生協による地方スーパーの実質子会社化です。

  このこと自体、全国的にも異例の出来事でしたが、話題を呼んだのはそこではありません。中央スーパーはもともとアークスグループの道北アークス(本社・旭川市)の提携企業であり、これを解消してコープさっぽろ傘下に入ったという点が注目されたのです。

  もっとも、中央スーパーのアークスグループからコープさっぽろへの「鞍替え」は、イオン北海道を含め道内売上高3000億円規模で拮抗する3極体制のシェアに影響を及ぼしたわけではありません

  中央スーパーの店舗は留萌市、増毛町、遠別町、天塩町に一つずつの計4店舗のみ。20192月期の売上高は22億円に過ぎません。過去最高の902月期ですら61億円で、それから約30年で3分の1にまで減ってしまった。この間、留萌地方で進んだ高齢化と過疎化の反映です。 

 アークスが06年に中央スーパーと業務提携を結んだのは、自分たちのグループ力強化よりも、同じCGCグループの仲間である同社の信用を補完するのが目的でした。13年間もの間、道北アークスとの業務提携という関係にとどめ、アークス本体の子会社にしなかったことが、何よりの証拠です。アークスにすれば、経営不振の中央スーパーがCGCグループを離脱してコープさっぽろ傘下に移る決断を「止める理由はなかった」のです。

 

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