新・北海道現象の深層⑤ セブンの変化対応を上回る!セコマはなぜ世の中の変化を先取りできるのか

2019/08/21 05:34
浜中淳(北海道新聞)

北海道現象から20年。経済疲弊の地で、いまなお革新的なチェーンストアがどんどん生まれ、成長を続けている。その理由を追うとともに、新たな北海道発の流通の旗手たちに迫る連載、題して「新・北海道現象の深層」。第5回は、小売業界のなかでもっとも寡占化が進むコンビニ業界で唯一「規模の経済」とは別次元で競争し、勝ち組となっているセコマに焦点をあてる。変化対応を是とするセブン-イレブンを上回る、変化を先取りする力がセコマにはある。

1971年8月に開店したセコマの1号店「セイコーマートはぎなか店」(札幌市北区)。日本最初のコンビニとされる「タックメイト藤山台店」(旧ココストア藤山台店、愛知県春日井市、71年7月開店)が3年前に閉店したため、現存する日本最古のコンビニとなった。
1971年8月に開店したセコマの1号店「セイコーマートはぎなか店」(札幌市北区)。日本最初のコンビニとされる「タックメイト藤山台店」(旧ココストア藤山台店、愛知県春日井市、71年7月開店)が3年前に閉店したため、現存する日本最古のコンビニとなった。

王者セブン-イレブンがどうしても勝てない

鈴木敏文・セブン&アイ・ホールディングス社長が母校の上田東高校に寄贈した「変化対応」の石碑。セブン-イレブンの成長を支えたキーワードだ(長野県上田市)
鈴木敏文・セブン&アイ・ホールディングス名誉顧問が母校の上田東高校に寄贈した「変化対応」の石碑。セブン-イレブンの成長を支えたキーワードだ(長野県上田市)

 東京に勤務していた2年前、信州方面をドライブしていた時のことです。以前にネットで知った情報をふと思い出し、上田市の上田東高校を訪ねると、やはりその石碑は校舎前に堂々と立っていました。

 「変化対応」と刻まれた石碑は、同校OBでセブン-イレブン・ジャパン創設者の鈴木敏文氏(現セブン&アイ・ホールディングス名誉顧問)が寄贈したものです。母校に贈る石碑の文言に選ぶぐらいですから、鈴木氏にとって、まさに座右の銘なのでしょう。

 鈴木氏の著書「変わる力」(朝日新書)にこんなくだりがあります。<セブン-イレブンが常に業界の先駆者でいられるのは、小さな変化さえも見逃すことなく対応しつつ、組織も、社員たち自身も、柔軟に変わっているためです。お客様の生活拠点として「便利の創造」を続けるセブン-イレブンは、まさに「変化対応業」と言えるのです>

 正直、最近の24時間営業見直し問題や、「7pay」の廃止に至ったトラブルへの拙い対応を見ると、鈴木氏自慢の「変化対応業」にも少々かげりが見えてきたと感じます。とはいえ、商品力の高さや1坪当たりの売上高は、コンビニ業界の中で相変わらず群を抜いている。世の中の「小さな変化さえも見逃すことなく対応し」続けた蓄積が、セブン-イレブンの店舗力の源泉なのでしょう。

 そのセブン-イレブンをして、どうしても勝てないコンビニが北海道にあります。札幌のセコマが展開するセイコーマートです。7月末現在の店舗数はセコマ1092店に対し、セブンは1011店。セブンの北海道進出は1978年で、すでに41年がたちますが、これほど長きにわたり地場コンビニの「抵抗」に遭っている地域はほかにありません。

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コンビ二大手の取り組みを10年以上先取りするセコマの先見性

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