自動倉庫に共同配送…生協宅配をさらに高度化させる物流投資の全貌
生協が収益の柱とする宅配事業を支えているのが、長年かけて全国に張り巡らせてきた生協の物流ネットワークだ。コロナ禍での需要の急増にも対応しさらなる進化を遂げている。しかし、足元では燃料価格の高騰や、「物流の2024年問題」による人手不足など多くの課題も立ちはだかる。生協物流の強さと、外部環境が悪化するなかでの今後の方向性について、全国の地域生協を取材する宮崎元氏が解説する。
冷凍商品向けの物流機能強化が加速
生協物流は宅配の成長とともに進化してきた。そんな歴史を振り返っても今回のコロナ禍は、生協物流の改革が一気に進む契機になったといえるだろう。
20年4月にコロナ感染拡大による緊急事態宣言が発出された直後、生協宅配の受注は急増し、キャパシティオーバーによって一時、新規加入受付ができなくなる生協も多かった。宅配需要の拡大はコロナ後も続く見通しで、生協物流にはアイテム拡充や物量増への対応が求められている。
こうした折、生協では要冷蔵センターの新設やリニューアルの計画時期が重なったこともあり、人手不足という問題もあるなか、自動化を図りながら物流機能の強化を図っているところだ。しかし、建築費や物流資材の値上げにより、物流センターを新設する際の総工費が当初予定から3割増にまで膨れ上がっている。現在、生協全体で10以上の物流センターの新設プロジェクトが進行しているが、計画の縮小や、資材納期の遅れによる稼働時期の遅れが生じてくるものもあるだろう。
コロナ禍では、内食やまとめ買いをする人が増え、近年需要が高まっている冷凍食品のほか、ミールキットや総菜などの冷蔵品がさらに伸長した。こうしたなか生協物流のなかでもとくに増強を進めているのが、冷凍商品の供給のための施設だ。これまでは冷蔵と冷凍を同じセンター内で集品する生協が多かったが、昨今の需要増を受けて冷凍専用のセンターを施設する傾向にある。
22年6月にコープデリ連合会(埼玉県)がリニューアルした「コープネット印西冷凍集品センター」(千葉県印西市)はその1つだ。生協の冷凍商品専用の集品センターで、かつ生協でもトップクラスの省人化・自動化を実現している施設として注目されている。
コープデリ連合会の21年度の宅配供給高(商品売上高に相当)は4516億円。このうち冷凍食品は
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