アマゾンレベルに達する米リアル小売の物流戦略

文:R2Link/代表:鈴木敏仁
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 たとえばサプライヤーの配送センター(DC)3カ所から、小売企業の店舗3カ所へと商品を送るとして、サプライヤーの各センターから小売企業の各店舗へとそれぞれ送ると物流線は9本になるが、真ん中に1つセンターを置くと3つ減って6本になる。これがサプライチェーンを効率化するときの基礎的な考え方で、ご存じの方も多いことだろう。

 アメリカの小売業界は、とくに物流頻度の多い食品雑貨業界を中心にして自社DCを運営するのが業界標準となっているが、その最大の目的は言うまでもなく物流数の削減にある。出店もDCを中心にして取り囲むように店を増やしていくのが常套手段で、これをクラスター化と呼ぶ。

 このサプライヤーから小売企業までの物流をファーストマイルと呼び、小売業界はこのファーストマイルの改善や進化に心血を注いできた。ところがEコマースの普及によって、ラストマイルという小売から消費者への商品の流れが突然スポットライトを浴び、その効率化が大きな取り組み課題となった。

 かくいう私も宅配というビジネスモデルが小売業界にここまで関与してくるとは思いもよらなかったのだが、世の中はどんどん変化を続けていく。だからおもしろいのである。

 小売業界はファーストマイル、ミドルマイル(DCからDCへといった小売企業内の物流)、そしてラストマイルと、一気通貫でビジネスを組み立て、効率化し、改善に努める時代となっているのである。

ターゲットが物流ハブ拡充に本腰

 フルフィルメントには、専用のフルフィルメントセンター(FC)と店舗FCの2種類あり、アメリカの小売業界には

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