日本生協連専務理事が語る、生協のPB「コープ商品」の価格戦略
コロナ禍の宅配ニーズの高まりで業績を伸ばした生協。しかし、世界的なインフレに円安、燃料高に伴う電気代や原価の高騰など外部環境が悪化し、さらには「物流の2024年問題」も不安視される。生協陣営はこの状況をいかにとらえ、手を打っていくのか。全国の生協の連合会である日本生活協同組合連合会(東京都:以下、日本生協連)の藤井喜継代表理事事業担当専務に聞いた。
21年度も概ね好調、併用利用が成長のカギ
──全国の地域生協における2021年度の事業概況をどのように振り返りますか。

●東京都出身。1988年に日本生協連入協。2010年執行役員管理本部長、13年常務執行役員管理本部長、15年常務執行役員事業推進担当、同年常務理事事業担当、19年1月常務理事 運営・組織担当専務補佐、同年6月運営・組織担当専務理事、21年1月事業担当専務理事、同年6月から現職
藤井 20年度に引き続き概ね好調でした。宅配事業供給高(商品売上高に相当)は対前年度比0.8%減の2兆1148億円と、コロナ禍で需要が急増した前年度実績とほぼ同水準を維持しています。一方、店舗事業供給高は同2.3%減の9273億円で、コロナ禍以前の19年度の水準を上回ったものの、客数が伸び悩んでいます。
──コロナ禍を機に食品ECや食品配送サービスが増え、食品小売業界の競争はますます激化しています。
藤井 宅配事業供給高は21年度も前期並みを維持しており、業績上、特段の影響は見られません。しかし、都市部を中心に競合の食品ECは着実に利用を増やしています。週次配送を原則とする生協宅配はきわめて事業効率のよいモデルである一方、競合は積極的にデジタルを活用し、より高い利便性をユーザーに提供しています。
国内の世帯数は24年以降、減少局面に入りいよいよ食品市場の縮小が見込まれます。このような事業環境をふまえ、組合員1人当たり利用高を増やしていく必要があります。
生協は、宅配のみならず店舗や共済、福祉・介護サービスなどを含めて組合員の暮らしをトータルでサポートする「総合力」を強みとしています。組合員が生協をもっと利用しやすくなるよう、データ連携も含めて各事業を一体でつなぎ、組合員一人ひとりのニーズにきめ細かく寄り添う存在になっていかねばなりません。
──宅配事業と店舗事業の連携もより重要になります。
藤井 そのとおりです。「21年度全国生協組合員意識調査」によると、宅配と店舗を併用する組合員は増加傾向で、生協の利用金額も高い傾向にあります。
一部の地域生協では、宅配システムで注文した商品を店舗で受け取るサービスを展開し、店舗でのついで買いにもつながっています。また、宅配システムの注文機能やレシピの検索機能、デジタル会員証など、生協のさまざまなサービスにワンストップでアクセスできるスマホアプリの開発も進んでいます。
若年層の新規利用増加も加入促進策に課題
──最近ではネットスーパーを展開する地域生協もみられます。
藤井 店舗
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