ニューノーマル時代に求められるMD施策とは?コープデリのキーマンに聞く

取材・文:ライター:石山真紀
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外出機会が増えたことで動くようになったカテゴリーも

――10月の緊急事態宣言明け以降、変化のあったカテゴリーはありますか?

京本 顕著だったのがガム・ラムネ・グミといった商品群です。緊急事態宣言下では低迷していましたが、10月以降、電車や車での外出が増えたことで口臭などのエチケット対策としてよく動くようになりました。また朝食需要としてのシリアル、子供用のカレンダー菓子も外出機会が増えたことで伸びるようになった商品のひとつです。

 先ほどレトルトカレーやラーメンなどの簡便商品は高止まりしているとお話ししましたがこの傾向は10月以降も続いています。またアレルギー食品やパスタ類なども家庭の常備品として定着したのか10月以降も比較的高い水準を維持しています

――客層にも変化はあったのでしょうか?

京本 コープデリはID-POSによる年代・クラスター分析を重視し、各バイヤーが商談や棚割に活用しています。コロナ禍以前は60・70代の組合員構成比が非常に高かったのですが、コロナ禍を機に30・40代の若い世代の来店が増えました。しかし、コロナ禍から1年以上が経過し状況が落ち着いてくると、客層の中心は以前の60・70代に戻りつつあります。

 それに伴い、若年層の購買率が高かった洋風調味料、子供向けのポケット菓子、シリアル、インスタントコーヒーといったカテゴリーのID客数は前年から大きく下がっています。

 コロナ禍から来年で2年となりますが、消費者もウィズコロナのライフスタイルに慣れてきており、われわれ小売業も社会情勢やニーズの変化を考慮しながら、販促を考えていく必要があります。とくに高止まりしているカテゴリーについては、価格やセールに頼らないコープデリならではのMDで、組合員に興味を持っていただける売場づくりにつなげたいと考えています。

オンライン商談推進の功績と課題

――コープデリではコロナ禍以降、オンライン商談を推進されていますね。

京本 はい。コープデリでは感染リスクの低下を目的に早い段階から商談をオンライン方式に切り替えてきました。これは緊急事態宣言明けの21年10月以降も継続しています。

 オンライン商談のメリットとして、バイヤーにコロナ感染者を一人も出さなかった点、移動時間等がなくなったことで販促施策などを考える時間が確保しやすくなった点、さらに移動や時間のコストがなくなったことで取引先様との取り組みが増えた点が挙げられます。

 とくに、大手の取引先様についてはコロナ禍で人を動かさずに商談できることへのメリットを強く感じていただけたようで、取り組みレベルが飛躍的に向上しました。

――逆にオンライン商談の課題はどんなところにあるでしょうか?

京本 オンライン商談を推進してきた分、デメリットも生まれました。たとえば、取引先様によってはやはり対面での商談を希望する企業もあり、そういった企業との取引が希薄になりました。とくに中小のメーカー様に多く、コロナ禍前後で取引先様によって取り組みの格差が出てきたという印象です。

 また、競合他社では対面の商談が戻りつつありますが、コープデリはオンライン商談を徹底した分、バイヤー自身が外に出ることへのメリットを感じられなくなっている点も想定外の状況となりました。当然、対面商談ならではの強みもありますので、対面で行うメリットをもう一度見つめ直し、ニューノーマル時代の商談の在り方を考えていきたいと思っています。

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