ホーム   特集&連載    DRMオンライン・オリジナル    コストマネジメント4.0 
記事タイトルバナー
2017年7月10日

最終回
コストマネジメント4.0を実践する
~営業利益を1%押し上げるコストマネジメント4.0の魅力~

 コストマネジメント4.0についての連載は今回が最終回となります。寄稿している中でたくさんのご相談も受け、多くの小売業様にてコストマネジメントが非常に重要であり、今までのような単純相見積もりから更にもう一段成果を出したいとの期待値が高いことを実感いたしました。

 

 今回は実際にコストマネジメント4.0を実施させていただいた企業様での具体的な事例をお伝えしたいと思います。

 

 某小売業様の子会社(売上高 数百億円)で、長年赤字が続いている状況の中、抜本的なコスト削減を実施することとなりました。

 

 以前までは社長からの指示で管理部門(総務部)が間接材のコスト削減を推し進めていました。毎年コスト削減目標金額があり、達成するために様々な費目の相見積もりを取得しコスト削減を実施。5年前ほどに銀行からの紹介でリバースオークションにて、複合機やカーリースなど3費目ほどのコスト削減に取り組んだ経緯がありました。

 

 社長からの号令の下、プロレドにてプロジェクトを実施する際に総務部長様とお打合せをさせていただきましたが、その際の反応としては、

  • 毎年コスト削減は実施しており、非常に安価なはずであり、削減余地が無いと考えている。
  • リバースオークションで3費目をやり、その際に他費目については、「最安値でありこれ以上下がらない」とコスト削減会社から言われた。
  • サプライヤーA社に関しては、営業部との取引があり、互恵関係のためコスト削減に取組めない。

といったものでした。

 

 こちらコストマネジメント4.0の中で提唱している「CONCEPT 5S」の1つ目、「SANCTUARY」の部分に当たります。コスト削減できないとの思い込みやサプライヤーからの「最低単価」との言葉を鵜呑みにすること、互恵関係による「聖域化」の問題です。

 

 そこで、プロレドではまず各費目を健康診断のように状況分析を行い、コスト削減の可能性を診断いたしました。案の定、ほとんどの費目にてまだまだ削減余地があるとの診断、いわゆる不健康な状態であったためプロジェクトの取組み対象としました。

 

 また、互恵関係に関しては、その互恵関係で得られるメリットとコスト削減によって生み出すことのできるメリットとの合理的な比較を行います。今回はサプライヤーA社へのクライアント販売実績を分析すると、コスト削減で得られるメリットの方が大きいことがわかり、こちらもプロジェクトの取組み対象としました。

 

 こちら「CONCEPT 5S」の「SURVEY」に当たり、QBSR分析や市場相場を分析することで対象費目を明確にしていきます。

 

 次のステップとしては、対象費目の優先順位づけになります。対象費目を削減余地金額で整理すると基本的にはパレート図のようになり、削減金額の大きな2割ほどの費目で、コスト削減可能な全体金額の8割が実現できるはずです。

 

 実際には電気やチラシ印刷、不動産関連費用など上位5費目で8割の削減が可能との判断となり、こちらの5費目から取り掛かることとしました。「CONCEPT 5S」の「SPEED」です。

 コスト削減の取組み方としては、各費目の支出状況を整理・分析し、既存サプライヤーを含めた主要なサプライヤー5社以上に対し、見積もり取得をすることからはじめます。もちろんコストマネジメント4.0の世界観のため、単純に見積もりを依頼するのではなく、品質が適正かどうか、仕様を標準化できないか等検討し、見積もり依頼に加味いたします。自身でその判断ができない場合は、見積もり依頼を行うサプライヤーに相談することも効果的です。現在と同等の仕様での見積もりとは別に、サプライヤーからの提案を含んだ見積もりを取得すると、新たな視点が生まれます。サプライヤーからの提案によって、効果的な仕様の見直しや品質の変更、集約や分散といったアプローチ方法が顕著になります。

 

 ただサプライヤーからの提案には、「そもそも使わない」や「全く別の仕組みにする」といった「ゼロ・ベースド・バジェッティング:ZBB(ゼロベース予算)」の視点は出てきません。今回の取組みでは、プロレド側で抜本的な量の見直しを考え、現場での実態と照らし合わせることで実現性を検証いたしました。

 

 取組み費目は30費目を超え、1年近くのプロジェクトの末、最終的には営業利益を1%近く押し上げる成果を出すことでき、黒字化に貢献することができました。

 

 6回に分けてコストマネジメントの新たな考え方「コストマネジメント4.0」についてお伝えしてきましたが、コストマネジメントの奥深さをご理解いただけたでしょうか。収益向上にコストマネジメントは非常に効果的ですが、取り組み方によって成果に大きな差が生まれます。ぜひご紹介したフレームワークを活用し、効果的な「コストマネジメント4.0」を実践していただけますと嬉しいです。

 

 

株式会社プロレド・パートナーズ 

 

 『ターンアラウンド(企業再生)』『エネルギー・間接材のコストマネジメント』『CRE戦略』に強みを持ち、完全成果報酬にてコンサルティングを手掛ける国内唯一の戦略コンサルティングファーム。
 クライアントは、食品スーパーやドラッグストア等の小売業をはじめとして、流通、製造業、学校法人や銀行など、上場企業や大手企業が中心。PEファンドからの依頼も多く、企業の収益力向上に貢献している。
 コストマネジメントにおいては、間接材(人件費研究開発費を除く)だけでなく、直材までカバーしており、1,000社以上の実績がある。

 コーポレートサイト:http://prored-p.com/

 

連載バックナンバー

Special topics