日本で個別企業がリテールメディアを成功させにくい理由とその解決策とは

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リテールメディアバナー

商機を見出したさまざまなプレイヤーが参入し、混戦模様のリテールメディア市場。そうした中、メーカーと小売企業との情報の断絶という構造的課題を「情報の流通」によって解決するべく、リテールメディアのプラットフォームづくりに取り組んでいる企業がある。食品卸大手の日本アクセス(東京都/佐々木淳一社長)傘下のD&Sソリューションズ(東京都/岩崎隼弥社長共同CEO)だ。「情報卸」を標榜する同社が取り組むリテールメディアとはどのようなものなのか。

国内小売が直面する「PV数」の問題

 リテールメディアは、コーポレートサイトやECサイト、スマホアプリ、デジタルサイネージといった小売企業のオウンドメディアから、広告主のデジタル広告の効果を最大化するDSP(Demand Side Platform)のようにオウンドメディア外に広告を配信する仕組みまで、広範にわたる。

 リアル店舗を中心に運営されている日本の小売企業では、ウェブサイトやスマホアプリのPV(ページビュー:ページの閲覧)数がごくわずかで、来店者数の方が圧倒的に多い。広告効果を「メディアの接触人数」で評価するならば、デジタルサイネージは効果的なリテールメディアといえる。

 ただし、リテールメディアは顧客データをもとに厳密にパーソナライズでき、広告効果を検証できるのが最大の強みだが、デジタルサイネージに限ってみれば、顧客IDと連携したパーソナライズができず、広告効果の検証もほとんど行われていない。

 では、デジタルサイネージではなく、スマホアプリやECサイトを中心にリテールメディアを構築すればよいかというと、日本市場ならではの課題もそこにはある。

 日本の食品スーパー(SM)業界は寡占化されておらず、寡占化が進む諸外国の小売と比べて、1チェーン当たりの顧客の母数が少ない。それゆえ、

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記事執筆者

ダイヤモンド・チェーンストア編集部 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア

ダイヤモンド・チェーンストア編集部は、業界をリードする提案型編集方針を掲げ、小売業の未来を読者と共に創造します。私たちは単なるニュース伝達に留まらず、革新的なビジネスモデルやトレンドを積極的に取り上げ、業界全体に先駆けて解説することを使命としています。毎号、経営のトップランナーへの深掘りインタビューを通じて、その思考や戦略を読者に紹介します。新しくオープンする店舗やリニューアルされた店舗の最新情報を、速報性と詳細な分析で提供し、読者が他では得られない洞察を手に入れられるよう努めています。私たちの鋭い市場分析と、現場の細部にわたる観察を通じて、注目すべき店舗運営の秘訣を明らかにします。

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