オーケーは値上げ時代の覇者となれるか? 調剤併設の大型店「新座北野店」レポート

矢野清嗣
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●冷凍食品・アイスクリーム オリジナルアイス6品目を導入!

 オーケーではどの店舗でも、冷凍食品のスペースを割き、かつ価格訴求に力を入れている。新座北野店の冷凍食品売場は、リーチイン什器と平台什器を使い、全120尺で売場を展開する。 

 陳列はカテゴリー別で、中でも「中華」「餃子」の品揃えをとくに強化しているようだ。リーチイン什器では「味の素冷凍食品・ギョーザ12個入り」(168円)、「イートアンドフーズ・大阪王将羽根つき餃子12個入り」(155円)などの売れ筋に加えて、「マルマツ・浜松餃子(生餃子)30個入」(641円)、「大善食品・焼餃子ボリュームパック500g」(485円)なども扱う。

 アイスクリームは66尺のスペースで、4~5割引セールを行っているが、本稿で注目したいのはオリジナル商品の扱いだ。「バニラ」「ピスタチオ」「ラムレーズン」など6品目を各184円で販売。同商品の導入により、プレミアムアイスの品揃えの幅が広がっている。

オリジナル商品のアイス。「クリームチーズいちじく」などフレーバーをラインナップするなど、高付加価値商品の位置付けとみられる

●加工食品 直輸入商品を各所に導入

 オーケーの加工食品売場の特徴は、カテゴリーごとに「メーカー色」を明確に打ち出すという点だ。たとえば、「醤油」では「キッコーマン」の扱いはあるものの、「ヤマサ醤油」に力を入れ、同社の「鮮度生活特選生しょうゆ600mℓ」(268円)を「(販売数)100万本に挑戦」と記した販促物とともに3尺棚で6品目を陳列していた。

 もう1つ注目したいのは直輸入商品の扱いで、イタリア産のオリーブオイルやホールトマト、カナダ産のオートミールなど自社オリジナル商品を導入することで売場にメリハリをもたらしている。

グループ会社のオーケー物流が輸入を手がけるカットトマト

●まとめ オーケーにも値上げの波が迫る?!

 オーケーはどの店舗も、常にスタッフが売場に出て陳列を整理し、商品を補充しており、売場が万全に管理されている。ディスカウント型の販売スタイルを維持するには、「売り切れ御免」の考えで、売場管理は後回しにされるケースも少なくないが、オーケーでは徹底した売場管理を基本としている。当然、売場管理を徹底するには、相応の人件コストを要するが、オーケーは必要なコストであると割り切っているのだと見られる。お客にとっては、整然と管理された買物を楽しむことができるのは魅力的だが、このスタイルが関西の消費者にどう受け止められるかはまだわからない。

 筆者は、今回の調査の前、オープン直後の2022年9月にも新座北野店を訪ねている。9月時点では、それほど値上げの影響は見られなかったものの、2カ月が経過すると、値上げの影響がじわじわと出てきているのを感じた。売場では「値上げ予告」のPOPが何カ所かに掲示されており、さすがのオーケーも値上げ対応をとらざるをえないようだ。

 ただ、こうした値上げは、オーケーにとっての追い風になる可能性が高い。「少しでも安く」と考える消費者は、より安い店に行くようになる。オーケー会員プログラム「オーケークラブ」の会員は、現金払いで103分の3%(約3%)の割引を受けることができ、会員のメリットは大きい。実際に、オーケークラブの会員は648万(2022年3月時点)と1年で50万人以上増えており、消費者の支持は厚い。

 値上げ時代の覇者となるのはオーケーか、それとも別のチェーンか。関西進出の動向とあわせ注目したいところだ。


(店舗概要)
所在地 埼玉県新座市北野3-4-5
開店日 2022年8月30日
店舗面積 2265.28㎡
営業時間 8:30~21:30(調剤薬局は18:30閉店)
駐車台数 108台

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