ロピアと至近で競合! エイビイ海老名店に見た、ローコストオペレーションの真髄

矢野清嗣
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開店時から長蛇の列も、エイビイとしては想定内?

 エイビイの店舗では原則、チラシ販促を実施していないが、開店時はチラシを投入し、日替わりで販促を実施。調査期間中は、「オープンセール第3弾」として、「明治・ブルガリアヨーグルト400g」(78円)、「ヤマサ・昆布つゆ1ℓ」(100円)、「東洋水産・マルちゃん焼きそば3袋」(78円)、「日清フーズ・小麦粉フラワー1kg」(100円)など、ほかのチェーンでは見られない超目玉価格で売れ筋NBを提供していた。これらをチラシで見たお客が店舗に足が向くのは当然であろう。ただ、3月上旬になるとチラシ販促は行わず、EDLPスタイルの営業となっていた。

 調査期間中、オープンしてから2回目の日曜に店舗を訪れると、「オープンセール第3弾」の期間中とあって、開店時から店舗の前には長蛇の列ができ、駐車場が満車状態で、駐車場に入るクルマで店舗前の道路が渋滞となっていた。

 また、開店から約30分間は入場制限を実施しており、11時過ぎには16台のレジがフル稼働していた。キャッシュレス決済を扱わず現金決済のみで、セルフ精算機を導入していることもあってレジ作業はスムーズだったものの、レジ待ち行列は店舗奥側壁面い達するほどだった。ただ、こうした光景はエイビイの日曜午前中ではおなじみであり、同社としては想定内といったところだろう。

エイビイに見る、ローコストオペレーションの真髄

 前編で述べたとおり、海老名店は約400m離れた場所にある「ロピアららぽーと海老名店」と競合関係にある。両チェーンが競合するのはこれが初めてではなく、神奈川県大和市の中央林間エリアにて、「エイビイりんかんモール店」「ロピア中央林間店」が約650mの距離でしのぎを削っている。

 海老名店、ロピアららぽーと海老名店で主要商品を比較してみると、日配と加工食品は互いが意識して価格を合わせているような印象を受ける。具体的に言うと、エイビイはロピアの価格に合わせたEDLP政策を展開する一方で、ロピアはエイビイの特売価格を合わせた価格設定をしているようで、互いに一歩も後に引かないという意地を感じた。

 生鮮では、青果は両店でサイズやグレードが異なり、共通する商品は少なく、単純に価格を比較するのが難しかった。精肉でも、たとえば豚肉では両店とも千葉県産を扱っているが、エイビイは「名水もち豚」、ロピアは「三元豚」といった具合に微妙に商品が異なる。輸入豚も、エイビイは米国産ホエー豚、カナダ産、スペイン産で対応する一方で、ロピアはカナダ産、スペイン産、メキシコ産を揃える。

 全体的にロピアは銘柄肉にこだわった商品ラインナップであり、売場を見ていると、エイビイは「スーパーマーケット型」でロピアは「精肉専門店型」であるような印象を受ける。お客がどちらを選択するかは今後の両店の動向に注目したいところだ。

 「ディスカウントストア」として語られることも多いエイビイだが、同社は“高鮮度・高品質・美味しさ”(会社サイトより)を追求した「スーパーマーケット」であり、自らを「ディスカウントストア」とは表現していない。あくまでスーパーマーケットというフォーマットを構築するための「ロ―コストオペレーション」の追求が、エイビイ独自のスタイルを重要な構成要素となっていると言っていい。競合関係にあるチェーンは、エイビイをディスカウントストアではなく、スーパーマーケットとして認識する必要があるのかもしれない。

 最近の新期出店を見ていると、ローコストオペレーションという視点が薄れてきているような印象も受ける。エイビイの店舗を見れば、ローコストオペレーションとは何かを再考させられることだろう。

(店舗概要)
所在地 神奈川県海老名市泉2-5-1
開店日 2022年2月16日
営業時間 10:00~19:00
売場面積 1500坪
駐車場台数 389台

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