衝撃の「18時閉店」、 2021年初出店ロピア小平店を徹底レポート!

矢野清嗣
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首都圏、関西圏で怒涛の出店を続けるロピア(神奈川県/高木勇輔代表)の2021年最初の出店となる「ロピア小平店」(東京都小平市:以下、小平店)がオープンした。前期は関西進出を果たし業界中の注目を集めた同社。今期のロピアはどう動くのか。売場から探ってみた。
調査日:2月24日、3月3・25日 ※本文中の価格はすべて本体価格

ロピア小平店の外観

衝撃の「18時閉店」

 ロピアが2月11日にオープンした小平店は、西武鉄道多摩湖線「一橋学園」駅から直線距離で約800mの住宅密集地にある。自動車教習所の跡地に開業したショッピングセンター「アクロスプラザ小平」の核店舗で、東京都9店舗目、ロピアとしては57店舗目の店舗となる。

 まず、今回の調査で、筆者が最も衝撃を受けたのが「営業時間」だ。小平店では、営業時間を9時~18時に設定している。

 開店から3週間ほどが経過した平日に店舗を訪ねると、午前中から店内は混雑しており、11時30分頃になるとレジはフル稼働状態だった。正午から14時頃は比較的閑散としており、16時過ぎになると再びお客が増えはじめ、店内にざわめきが戻ってくる。17時45分になると「蛍の光」が流れて売場は“閉店モード”に入り、お客の足取りも速くなっていた。

 筆者が社会人として働き始めた昭和40年(1970年)代は、大規模小売店舗法、いわゆる「大店法」が施行された頃で、営業日や営業時間が規制され、19時閉店を基本としていた。そこから2000年になり、大規模小売店舗立地法、いわゆる「大店立地法」が施行され、営業時間などが選択できるようになった。

 小平店が設定した18時閉店は、「大店法」時代より早い閉店時間であり、筆者と同世代の業界関係者は過去に戻ったような錯覚を覚えるのではないだろうか。営業時間短縮するということは、流通の常識からすると売上を放棄するような行為であり、通常では考えられない決断であると言える。

閉店間際でも「値引き」はなし!?

 ロピアの店舗ではおなじみの天井から吊るされたメッセージにも注目したい。店内を見渡してみると、

「仕事の後も家族とご飯を食べられるスーパーマーケットを目指したい」
「仕事も家族も大切にしたいから短い営業時間で頑張ります!!」
「閉店時間が早い!!早い時間の買い物には『福』がある」
「家族と一緒にご飯を食べて、その元気をお客様に返したい!!」

 と書かれたサインが店内の至るところに掲げられている。筆者はこの業界に身を置いて長いが、このようなフレーズをスーパーマーケットで見かけたことは一度もない。スーパーマーケットで働く人の大多数は「仕事が終わって家族と一緒に夕飯を食べる」というシーンはあきらめていたことだろう。それを叶える企業が現れるとは誰も予測できなかったはずだ。従業員とその家族の生活を大事にする姿勢の表れとも言えよう。

 もう1つ驚いたのが「値引き」をほとんどしていないという点だ。

 多くのスーパーマーケットでは、閉店1時間ほど前になるとスタッフが値引きシールを商品に張っていく光景が見られる。だが、小平店は閉店間際になっても、精肉売場で多少見られるだけで、基本的に値引きをしていない。そのためか、閉店間際の値引き商品目的のお客が少ないようで、閉店間際の混雑も見られなかった。廃棄ロスなどを考えるとなかなかできることではないが、これこそが小売本来のスタイルであり、これを忠実に実行していることにも筆者は衝撃を受けた。 

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