都内屈指のフード&ドラッグ激戦区で示された、新参コスモスやや苦戦の意外な理由

調査・文:矢野清嗣
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都心部から西へ40kmほど離れた東京都あきる野市の中心部・秋川エリアでは、ここ数年、食品強化型ドラッグストア(DgS)が相次いで出店し、地域に根ざした食品スーパー(SM)を巻き込み、激しい競争を展開しはじめている。知られざる“都内の激戦地”の現場に迫った。調査日:2023年3月26~27日 ※文中・表中の価格はコスモス薬品が税込価格、その他は本体価格

コスモス、クリエイトが相次ぎ出店

 東京都西部に位置するあきる野市は、1995年に旧秋川市と旧五日市町が合併して発足した。人口は約7万9000人(2023年3月推計人口)。JR五日市線が市内を東西に貫いており、同沿線地域からは都心部へのアクセスもよく、ベッドタウンとしての側面も持つ。

 市内の中心エリアは、JR五日市線「秋川」駅周辺で、市役所や公会堂、図書館といった公共施設のほか、「イオンモール日の出」をはじめとした商業施設なども点在している。しかし同エリアにおいて注目すべきは、DgSの出店状況である。秋川駅北口から北へ伸びる駅前大通りと、東へ約200m離れて並行する滝山街道、東西に走るJR線と五日市街道に囲まれた縦500m、横250mほどの狭いエリアに、S M 2 店舗、DgS6店舗がひしめき合っているのだ。とくにDgSの密度は、同エリアの人流や人口に対してやや過剰と言わざるを得ない状況である。

 こうした状況の引き金となったのが、“新参”の相次ぐ出店である。まずは昨年4月にコスモス薬品(福岡県/横山英昭社長)が「ディスカウントドラッグコスモス秋川店」(以下、コスモス秋川店)を出店。それから2カ月後の同年6月にはクリエイトSDホールディングス(神奈川県/廣瀨泰三社長)が「クリエイトS・Dあきる野秋川店」(以下、クリエイトあきる野秋川店)、さらに11月にセキ薬品(埼玉県/関善夫社長)が「ドラッグストアセキ秋川店」(以下、セキ秋川店)をオープンした。

 対して、当該エリアで以前から店舗を構えていたのが、「サンドラッグ秋川店」「ツルハドラッグあきる野とうきゅう店」(以下、ツルハとうきゅう店)、「ドラッグセイムス秋川店」(以下、セイムス秋川店)の3店舗。また、SMでは「東急ストアあきる野とうきゅう」「オザム秋川店」の2店舗が地域の食生活を支えてきた。

 こうした環境に、とくにコスモス薬品とクリエイトSDというフード&ドラッグの有力チェーンが“上陸”したことは、大きなインパクトをもたらし得る出来事であるはずだ。「食品」を軸に、秋川エリアの各店舗の調査を行い、競争の現状と行方を考察してみた。

非食品の販促に重きを置く既存勢力

 各店舗の売場を詳しく見てい

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