ウォルマート、カナダでEC強化などに2800億円投資、今後5年間で

ダイヤモンド・リテイルメディア 流通マーケティング局
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ウォルマートの次世代型物流センター完成予想図
次世代型物流センターを2カ所新設する他、店舗の近代化投資を進める

 米ウォルマートは、カナダでEC(インターネット通販)の強化や店舗での最新テクノロジーの導入などに今後5年間で35億カナダドル(約2800億円)を投じる。カナダでは、競合する大手スーパーのロブローやソビーズもECの強化を進めており、ウォルマートは積極投資で対抗する。

 ウォルマートのカナダ法人、ウォルマート・カナダが7月20日に明らかにした計画によると、自動化テクノロジーなどを導入した次世代型の物流センターをオンタリオ州とブリティッシュコロンビア州に新設する他、オンタリオ州にある既存の物流センターにも自動化テクノロジーや機械学習を活用したシステムを導入する。これにより、ECの受注能力を高め、配送スピードを上げる。物流関連の投資額は11億カナダドルで、ブリティッシュコロンビア州の新物流センターは2022年、オンタリオ州では24年の稼働を目指す。

 店舗に関しては、カナダにある約400店舗のうち約150店舗を3年以内に改装する。改装店舗では、電子棚札や陳列棚のモニタリングシステム、コンピュータによる画像処理機能を搭載したカメラなどを導入、店内作業の効率化や在庫・値付けの最適化につなげる。

 レジの混雑や従業員との接触を減らすために、セルフレジや「チェックアウト・ウィズ・ミー(Check Out with Me)」の導入店舗も増やす。チェックアウト・ウィズ・ミーは、モバイル型の決済端末を持った従業員に声を掛けると、店内のどこにいてもクレジットカードなどで支払いを済ませることができるシステムで、ウォルマートは米国の一部店舗で導入している。

 また、ECで注文した商品を配送料無料でウォルマート店舗で受け取ることができる「ウォルマート・ピックアップ」の対応店舗を、20年末までに約270店舗に増やす。大型店の「スーパーセンター」のバックルームの一部を改装し、EC商品専用の小型配送センターとして運用する実験を行い、ピッキング作業と配送時間を短縮できるかを検証することも計画する。

 カナダでは、ロブローが米買い物代行大手のインスタカートと組んで食品の宅配を行っている。また、ソビーズはネットスーパー専業の英オカドグループと提携し、オカドの技術を全面導入したEC専用の自動配送センターをこのほど稼働させた。ソビーズは「ヴォアラ(Voilà)」のブランド名でネットスーパーを展開しているが、トロント周辺では自動配送センターから商品を配達している。

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