ANA、4―6月期国際貨物18%減収 米中貿易摩擦や中国経済減速

ロイター
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ANA飛行機機体 (2019年 ロイター/Regis Duvignau)
7月30日、ANAホールディングスが発表した2019年4―6月期連結決算は、売上高が前年同期比3.2%増の5005億円で同期として過去最高となった。写真はトゥールーズで3月撮影(2019年 ロイター/Regis Duvignau)

[東京 30日 ロイター] – ANAホールディングスが30日発表した2019年4―6月期連結決算は、売上高が前年同期比3.2%増の5005億円で同期として過去最高となった。ゴールデンウィーク(GW)の10連休に伴う旅客需要拡大が寄与した。一方、米中貿易摩擦や中国経済の減速により、国際線貨物は18.3%の減収だった。

4―6月期の営業利益は19.4%減の162億円だった。次期の首都圏空港の発着枠拡大に備えて人件費、機材費などの費用が響いた。ただ、減益は期初の計画通り。GW10連休効果で想定より小幅な減益にとどまった。20年3月期通期業績は従来予想を据え置いた。

福澤一郎・最高財務責任者(CFO)は同日の決算会見で、国際貨物事業の動向について「米中貿易摩擦の長期化が懸念されることと、そもそも中国経済の減速感が昨年後半から出てきた」と指摘。「なかなか中国発、中国向けの貨物の急速な回復は見込めない」との見通しを示した。今後は製造業がシフトしているベトナムや台湾などアジアの需要取り込みでマイナス分をカバーする方針だが「アジアで全部を挽回できるかというと、なかなか難しい」と述べた。

また福澤CFOは、相次いで発表されている企業決算で減益が目立つ中、「気になるのは国際線旅客需要を中心とした渡航需要への影響だ」とも語った。「足元、ストレートに(影響は)出ていない」としながらも「貨物の動きを先行指標とみると、渡航需要に影響が出る可能性がある」とした。「(今期は)9カ月残っているが、一言でいえば予断を許さない状況」で、「後半戦は相当、慎重に見ざるを得ない」と話した。

韓国線への影響は「軽微」

福澤CFOは、日韓の外交関係悪化の影響が懸念される韓国線について、4―6月期は「ほとんど影響はなかった」といい、7月以降は一部のLCC(格安航空会社)、韓国の仁川線、釜山線で「数億円程度」の影響が出ているが、「基本的には軽微だ」と述べた。今後もレジャー・訪日需要が中心のLCCの旅客に影響が出るとみられるが、「経営に大打撃を与えるほどの水準にはならない」と語った。

日本が韓国向け半導体材料の輸出管理強化を発動したことを受けて、韓国では日本の製品やサービスに対するボイコットが広がっている。大韓航空は29日、日本との外交関係悪化に伴い需要が減少しているとして、釜山─札幌線の運航を9月3日から停止すると発表した。

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