2023 秋・冬 たんぱく補給食品市場トレンド、高たんぱく訴求の商品が増加

石山 真紀
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健康・機能性市場トレンド2023秋・冬

健康志向の高まりを受けて性年代を問わずユーザーが拡大している健康・機能系の食品群。今期は「糖質オフ・ゼロ系ビール類」「減塩商品」「機能性表示食品」「たんぱく補給食品」の4つのカテゴリーを取り上げ、トレンドを探る。

たんぱく補給食品
ライトユーザーの流入により、市場は2000億円を突破

 富士経済の調査によると、2015年以降各種メディアでたんぱく質摂取についての情報発信が増加し、「プロテイン」が一種のブームに。その後、筋トレの話題性も高まったことでライトユーザーを獲得。一部のヘビーユーザーが大半を占める構造が変化して、20年には市場が2000億円を突破した。

プロテインのイメージ
ユーザーの増加に伴い、新商品も活発に発売されたことで成長してきたたんぱく補給食品市場だが、22年以降はライトユーザーの離脱から前年を下回る品目も出てきている(i-stock/MartinPrescott)

 さらに、コロナ禍においてもコロナ太り解消需要が発生したほか、メディアやインフルエンサーを通じた情報発信で新規ユーザーが増加。とくにテレビ番組で特集されたことで新規ユーザーを多く獲得し、21年まで2ケタ増が続いた。

 ユーザーの増加に伴い、新商品も活発に発売されたことで成長してきたたんぱく補給食品市場だが、22年以降はライトユーザーの離脱から前年を下回る品目も出てきている。

 一方、ブームにより獲得したユーザーがリピーターに成長しているケースもあり、市場は今後も小幅ながら拡大が続くと予想される。ブーム後の急激な市場縮小を避けるために、メーカー側ではライトユーザーをミドル・ヘビーユーザーへ育成していくことが重要となる。

高たんぱく訴求の商品が増加、シニア向けの伸長にも期待

 近年、市場の拡大に貢献しているのが、より手軽にたんぱく質を摂取できるたんぱく補給食品の存在だ。それまでの加工食品は、減塩や糖質カットが主要な健康訴求であり、たんぱく質強化を訴求した商品は10年代半ばまで存在しなかった。しかし、プロテインブームで消費者の認知が進んだことで、米飯やスープなど食事メニューの市場が形成。20年には豆腐バーなどの新たな形態の商品が登場し、市場は前年の3倍以上に拡大している。

たんぱく補給食品

 直近の商品群をみてみると、さとの雪食品では豆乳を主原料とした大豆生まれの「SOYソーセージ」を発売。雪印メグミルクでは「毎日骨太」ブランドより「毎日骨太高たんぱくヨーグルトMBPR」を展開している。

 キッコーマン食品の「キッコーマン大豆麺」シリーズは、大豆を使った麺(乾麺)と専用のスープやソースをセットにした簡便性の高い商品。一正蒲鉾の「ねりもの職人ちくわ」は魚肉由来の良質なたんぱく質を含むことを示すフィッシュプロテインマーク表記の商品であり、日頃の食事で気軽にたんぱく質を摂取できる。

 たんぱく補給食品は幅広い年代をターゲットとしているが、なかでも注目されるのがシニア層に向けた商品群。シニア層はライトユーザーと比較しリピート購入が期待でき、ブームが落ち着いた後もフレイル予防という新たな健康認識の広がりから、市場の拡大が期待できるだろう。

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