首都圏SM4社が食品物流で連携 4つの取り組みとめざす「踏み込んだ形」とは

取材・文:大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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首都圏で事業展開するライフコーポレーション(東京都/岩崎高治社長:以下、ライフ)、ヤオコー(埼玉県/川野澄人社長)、サミット(東京都/服部哲也社長)、マルエツ(東京都/本間正治社長)の大手食品スーパー(SM)4社は3月16日、持続可能な食品物流に向けた取り組みに関する記者発表会を開催した。4社で、食品の安定供給を維持するべく4つの施策を実行する宣言を行うとともに、「首都圏SM物流研究会」の発足を発表した。具体的にどのような取り組みなのか、レポートする。

切迫する物流問題に立ち上がったSM4社

 食品小売業界の物流問題は火急の課題となっている。ドライバーが不足する一方で、ECの成長や、多品種・小ロット配送が増えるなど、需給がひっ迫している。また2024年度に差し迫った働き方改革関連法施行に伴う「物流の2024年問題」によってさらに物流現場の労働力が不足し、現在と同じ食品の供給体制は維持できないとみられている。

 こうした状況を受けて、日本政府や関係各社、各協会も改革に向けて動きだしている。国土交通省、経済産業省、農林水産省、厚生労働省は20年、トラック事業者と荷主とが連携して、荷待ち時間の削減や荷役作業の効率化を図るための「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン(加工食品、飲料・酒物流編)」を策定した。

 日本政府が物流に関する総合的な取り組みをまとめる「総合物流施策大綱」の最新版(21年6月閣議決定)では、加工食品分野の物流標準化・商慣習改革を推進するとしている。

 22年4月には、大手食品メーカー、日本加工食品卸協会、SM主要3団体の製・配・販の各階層が参画する「フードサプライチェーン・サステナビリティプロジェクト」が始動した。持続可能なサプライチェーン構築のための具体策として、発注・納品リードタイムの延長や「 3 分の 1ルール」の見直しの徹底などが挙げられている。

 こうしたなか、ライフ、ヤオコー、サミット、マルエツが動いたのが、今回の取り組みだ。日本スーパーマーケット協会(東京都)の正副会長会社でもあるこの4社で22年8月に「4社物流協議会」を立ち上げ、持続可能な食品物流構築に向けて議論してきた。そして23年3月16日、なかでも優先度の高い4つの施策を実行すると宣言し、今後さらに物流効率化を進めるための研究を行う「首都圏SM物流研究会」を発足した。

 4社のなかでも先導役となったのがサミットだという。服部社長は「食品物流は1990年代半ばごろに業界の標準ができ、それから現在までほとんど変わっていない状態だ。しかし、食品物流はかつて各社との“競争領域”だったが、外部環境や世の中の価値観の変化によって今や“協力領域”になっている。SMは食品小売業界の中核的存在であり、食品物流の見直しに率先して取り組んでいくべきだ」と述べている。

首都圏で事業展開するSM4社が「首都圏SM物流研究会」の発足を発表した。左からサミットの服部社長、マルエツの本間社長、ヤオコーの川野社長、ライフの岩崎社長
首都圏で事業展開するSM4社が「首都圏SM物流研究会」の発足を発表した。左からサミットの服部社長、マルエツの本間社長、ヤオコーの川野社長、ライフの岩崎社長

特売品・新商品も6営業日前の発注に

 今回、4社が実行を宣言した4つの施策は、

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