「それ、自分なら買いますか?」マーケッターの陥りがちな罠とその回避の仕方

エイトハンドレッド:桂幸一郎
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ID‐POSを「定性データ」として使うこともあり!

 「ID‐POS」はいわゆるビッグデータで、とくに小売のID‐POSはマーケターからするとユートピアにも見えます。とはいえ現実には、ランキングを作成したり、いろいろな集計や解析をしたりして、そこからでてきた「微妙な差」をもとに「こんな動きがある!」と言い切るしかないことが多いでしょう。

 というのも、一般に小売業では同時に販売している商品が数万SKUあり、顧客も数百万人規模です。だから、「ショッパーとはこういうものだ」と単純化して言い切るのが難しいのです。一方で、ランダムに数名の顧客をピックアップして購買履歴をたどり、自分の想像力を駆使することで、「ショッパーとはこういうものだ」という全体像がおぼろげながらわかることも多々あります。定性調査のようなアプローチですが、ID-POSだからといって必ずしも定量データとして使う必要はありません。

セグメンテーションでも「想像力」を忘れない

 「STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)はマーケティングの基本」といわれており、「セグメンテーション」という言葉を聞かない日はなくなりました。ROIの高いマーケティングプランの立案や、とがった商品のコンセプト開発には不可欠の視点です。ただ、これもやりすぎると「そもそも、そんな人存在するのか?」となるかもしれません。それ以外にも、たとえば自分はスマホを手放せないデジタルに慣れ切った生活をしているのに、自分の商品の顧客だけは、あたかも「サザエさんの家族」のような生活をしているかのように語る人も見かけます。

 データ活用が進んで、見える領域が増えてくると、想像力で補う領域が減ることは事実です。だからといって想像力の役割が減ったわけではありません。逆に領域が減った分、想像力で深掘りすることで大きなアイディアの鉱脈が見つかるかもしれません。

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