コロナ収束で明暗、伸びる業態と縮む業態、寡占化する業態は?小売業、市場占有率2023
複数の外部要因が再編の呼び水に!?
日本政府により、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に引き下げられる。緊急事態宣言や、マスク着用の推奨、飲食店への営業時間短縮要請などはなくなり、いよいよ人々がかつてのような日常生活を取り戻せる日がきた。
しかし、コロナ感染拡大を経て大きく変容した生活者の消費行動は、感染症の脅威が薄れてもコロナ前には戻らなそうだ。リモートワークの定着や、外食機会の減少、ECやデリバリーの利用などは、コロナ禍での3年あまりの月日で人々の生活にすっかり根付きつつある。
もう1つ消費者を取り巻く環境で大きく変化しているのが節約志向の高まりだ。ウクライナ情勢に端を発して、原材料費や燃料費などの各種コストが増加した。これにより家庭の光熱費が高騰しているとともに、メーカー各社が一斉に値上げを行ったことから、消費者の生活防衛意識が高まっている。
こうしたなか、今年の主要業態の市場占有率は、これらの外部環境下での生活者の消費行動やニーズを色濃く反映するものとなっている。本特集では、「食品スーパー(SM)」「総合スーパー(GMS)」「コンビニエンスストア(CVS)」「ドラッグストア(DgS)」「百貨店」「ホームセンター(HC)」「通信販売」「家電量販店」「外食」「総菜専門店」「100円ショップ」「食品卸」の主要12業態において、市場規模、上位企業の寡占化率の変化を解説していく。
まずSM業態については、本誌調査によると2021年の市場規模は18兆7917億円と推計され、前年から0.7%の微増だった。前年のコロナ特需の反動を受けて減収となった企業も少なくなく、成長の鈍化がみられるようになっている。そして直近で発表されつつある最新の22年度決算では、新しい消費ニーズに対応できた好調企業とそうでない企業に分かれつつある。
こうした環境下でフロンティア・マネジメント代表取締役の松岡真宏氏は「業界再編に向けたマグマが地中に溜まり、いつ噴出してきてもおかしくない状況」と業界再編の機運が高まっていることを指摘する。昨今の各種コスト増が企業の業績を圧迫していること、また戦後日本のSMを築き上げてきた創業者が鬼籍に入るニュースが相次ぎ、世代交代が生じ、抜本的な改革が予想されることなどが背景にある。
そうだとすれば、SMの上位企業による寡占化率はいまだ4割強程度にとどまっているが、寡占化が進行していく可能性がある。
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