コロナ収束で明暗、伸びる業態と縮む業態、寡占化する業態は?小売業、市場占有率2023

大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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戻らない外食、需要広がるデリバリー

 一方、コロナ禍が収束しても回復できない業態や、反動減に苦しむ業態もある。GMSは今回、各社とも今年度から「収益認識に関する会計基準」を適用していることに加え、業態区分を変更した企業があったこともあり市場規模が大きく縮小。4兆9487億円と5兆円を切った。なかでもイトーヨーカ堂(東京都)は事業構造改革で、期待以上の効果が出ていないことからアパレル事業からの撤退や、さらなる店舗閉鎖を発表している。

 コロナ禍で深刻な影響を受けた外食は、21年度市場規模が同6.5%減の11兆6268億円と、2年連続減少した。外食・中食市場情報サービスを提供するエヌピーディー・ジャパン(東京都)による、直近の22年の外食・中食市場も、19年比で10.4%減。なかでも外食(イートイン)が同26.0%減と、コロナ禍が落ち着きを見せても、利用が戻っていないことがわかる。

 これに対して利用の定着が見られるのがデリバリー市場だ。20年に同50%増、21年に同26%増とコロナ禍を機に一気に市場を拡大。22年は同1.6%減の7754億円となったが、19年比では同85%増となっている。こうしたなか外食企業もデリバリーに力を入れるほか、SMやCVSがデリバリープラットフォームと提携して、店舗商品の即時配送サービスを提供し、店舗の売上増や新規顧客の獲得につなげるなど、新しい動きが生まれている。

 HCは、21年の市場規模が同3.1%減の4兆1360億円だった。コロナ禍での反動減で縮小しているものの、前年のコロナ特需で突破した4兆円台を維持した。しかし人口が減少するなか将来的なマーケット縮小を見据え、異業種との協業・提携や、M&A(合併・買収)を進めている。

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