「それ、自分なら買いますか?」マーケッターの陥りがちな罠とその回避の仕方

エイトハンドレッド:桂幸一郎
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「バスケット分析」で陥りがちな罠とは

 まず、「バスケット分析」は、今まで思いつきもしなかった併売アイテムが見つかることもあり、とても大切な分析です。プロモーションのアイディアを考える際、重宝することも多いです。

 ただし実際は、意味不明な併売アイテムがランキング上位に多く見つかるので注意が必要です。たとえば、「ドラッグストアで、シャンプーXのショッパーに対してあるアイスクリームYの併売リフト値*が1.25。ランキングでは上位」にあったとしましょう。単純に考えると、シャンプーXのショッパーにアイスクリームYのクーポンを送る提案をしたくなるかもしれません。

 そこで、ふと胸に手をあてて考えてみると、「自分はシャンプーとアイスを一緒に買う必然性はないな」とか「そのドラッグストアのアイスが近隣店舗よりよっぽど安いのでは?」など、併売リフト値が高い必然性がない理由がいくらでも見つかります。つまり、ここで勇んでプロモーションアイディアを考える前に、一呼吸置いて、因果関係を考える必要があるというわけです。言い換えれば、「自分がショッパーならどう思うか」と想像すること、といってもよいでしょう。このように、「自分に置き換える想像力」を持つことも、実は「顧客理解」の1つです。

併売リフト値:バスケット分析で用いられる代表的な指標で、商品Xの購入者が商品Yを購入する確率が60%で商品Yの購入率が50%だった場合、商品Xの商品Yの併売リフト値は60%÷50%=1.20となり、Xの購入者はYを買いやすいという仮説が導き出される

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