ベーカリーに水産加工、ドラッグ…M&Aに積極的な万代グループの全容とねらい

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大手流通グループや商社との資本関係を結ぶことなく、自主独立路線で発展を遂げてきた万代。一方で近年は、食品製造業や同じ関西地盤のドラッグストア(DgS)を傘下に収めるなど異業種間M&A(合併・買収)を活発化させている。あまりフォーカスされることのない「万代グループ」の全貌を整理する。

異業種を取り込み専門性強化

 万代は本業である食品スーパー(SM)事業のほかに、実は複数のグループ会社によって多種多様な事業を展開している。

 なかでも存在感が大きいのが、総菜の製造や品質管理を担うクックワン(奈良県)だ。2018年にグループ会社として設立され、19年10月には和洋総菜などを製造する「斑鳩工場」(奈良県斑鳩町)を稼働。さらに22年9月には大阪府八尾市に米飯の製造拠点である「八尾工場」も設置した。現在、万代の総菜売場には店内調理品に加えクックワン製造の総菜が多く並んでおり、品揃えの拡充や負荷のかかる店内作業の効率化に寄与している。

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食品製造業や同じ関西地盤のドラッグストア(DgS)を傘下に収めるなど異業種間M&A(合併・買収)を活発化させている。

 一方で万代はここ数年、異業種企業のM&Aにも積極的な姿勢を見せている。たとえば21年2月には、「ほっかほっか亭」などを運営する総菜専門チェーンのハークスレイ(大阪府)から、同社傘下でベーカリー専門店「アルヘイム」(旧「HOKUO」)を展開するアルヘイムフードサービスの全株式を承継。現在は万代のパン売場に同社の商品が並んでいるほか、直営のインストアベーカリーの商品政策(MD)においても、アルヘイムのノウハウ活用が進んでいるとみられる。

 このほか、22年1月には、大阪府八尾市・東大阪市でDgSと調剤薬局計10店舗を展開するシグマ薬品の全株式を譲受した。各地でフード&ドラッグ業態の存在感が高まるなか、将来的に万代とシグマ薬品のそれぞれの専門性を融合させた店舗やフォーマットが開発される可能性もあるかもしれない。

 さらに22年10月には、兵庫県香美町の水産加工業者・マルカツ水産の全株式を取得している。同社は甘えびをはじめとする生食用えびの加工を主とする。生鮮強化を武器に勢力を拡大していきたい万代にとって、同社をグループ傘下に収めた意義は大きいといえる。

H2Oと提携も自主独立路線は変わらず?

 他方、

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ダイヤモンド・チェーンストア編集部 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア

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