ファストリ業績絶好調も…日本の大衆から乖離するユニクロはどこへ行く?
米国で進行した衣料消費のダウンサイジング
日本でも加速か?
米国のコロナ明けは21年春からと日本より早かったが、経済活動と消費の急回復によるサプライチェーンや物流の逼迫がインフレを誘発して物価が高騰し、ガソリンや光熱費、家賃や食料品などの必需支出が肥大した。
米国のインフレ率はリベンジ消費と同期して21年4月以降は4.0%を超えて賃金上昇率を上回り、23年5月には4.0%に沈静化して賃金上昇率を下回り(6月以降は3%台)インフレ局面は25ヶ月で終わったが、この間の消費の変化には学ぶことが多い。
コロナ明けで盛り上がったリベンジ消費もインフレに押され、チップの慣習もあって法外に高額化した外食を回避してスーパーマーケットのミールソリューション(イートインやテイクアウト)に流れた。
衣料・服飾消費も百貨店や高級ブランドの回復は3シーズンで終わって、より低価格なオフプライスストアやアパレルチェーン、量販店(ウォルマートやターゲット)の衣料PBや激安価格の中国系越境ECへのダウンサイジングが急進した。
百貨店(米国商務省商業センサスの「デパートメントストア」)の売上回復(19年超え)は21年秋から始まって23年2月までの3シーズンで終わり、以降は9月を除いて前年を割り続けいる。19年比でも売上を割り込む月が多くなり、11月、12月と落ち込みが大きくなっている。
一方で、アパレルチェーン(米国商務省商業センサスの「クロージング&アクセサリーストア」)は21年の3月以降は19年を上回り続け、減速した23年の3月以降も19年比2ケタ増を継続している。中国系激安越境ECのSHEINやTEMUの爆発的な売上拡大はH&Mも追い抜いてアマゾンを脅かすほどだ。
コロナ明けが遅れた我が国でもリベンジ消費は22年の4月から穏やかに始まって行動規制が解除された23年の5月から本格化したが、インフレ率が賃金上昇率を上回るインフレ局面も22年4月から穏やかに始まって、23年1月にピーク打っている。
米国と同様に25ヶ月でインフレ局面もリベンジ消費も一巡するとしたら24年の4月まででインフレ局面は終わり(インフレ率が賃金上昇率を下回る)、リベンジ消費も百貨店など高額分野は冷却してダウンサイジングが加速することになるのではないか。
所得の停滞に少子高齢化に伴う社会負担増が重くのしかかる我が国の勤労者にとって分かれ目はかつての「ユニクロ価格」であり、それを下回る庶民価格の衣料チェーンはともかく、値上げで庶民価格から乖離した今の「ユニクロ」は客数減が加速するリスクが指摘される。
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