「Shein訴訟」も追い風に 米国で存在感増すユニクロ、現地の反応は?

在米ジャーナリスト:岩田太郎
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今や時価総額12兆円を超え、グローバル小売としての存在感も大きくなったファーストリテイリング。中でも「ユニクロ」のコンセプトである、トレンドに左右されない究極の普段着「LifeWear」のニーズが高まっていることが背景にあると見られる。そのユニクロが2024年に米国で20カ所以上の新規出店を行い、2027年までに北米で200店以上の規模をめざして拡大中だ。米国では同社の動きが、どのように受け止められているのか。

米国でユニクロの存在感が増している

GAP低迷に乗じて上昇気流に

 スペインのザラ(Zara)、スウェーデンのH&Mに次ぐ、アパレル第3位に付け世界で2400店以上を展開するユニクロは、2022年から拡大を続ける北米事業を米国53、カナダ19の合計72店舗(2023年12月11日時点)から2027年までに2倍以上となる200店舗をめざすと発表した。

 ユニクロが2005年に立ち上げた北米事業は参入以来長く赤字が続いていたが、2023年9月に代表取締役社長兼最高執行責任者(COO)に就任した、生え抜きの塚越大介氏が2020年9月に北米担当責任者となって以来、積極的なブランド認知戦略、不採算店の整理、ヒット商品『ダメージジーンズ』の発売など改革策を次々と断行。2023年8月期には円換算ベースの売上が1639億円と対前年同期比で43.7%と大幅に伸び、営業利益も3.3ポイント改善して12.9%となった。15年以上をかけた初黒字化である。

 今回の北米事業拡張計画は、その好調の波に乗るものだ。出店先としては、主に東海岸と西海岸に重点を置き、新規開拓する東部ロードアイランド州のプロビデンスをはじめ、既存店がある州では東部マサチューセッツのブレーンツリー、東部ニューヨークのスタテンアイランド、西部ワシントンのタコマやリンウッドなど中規模都市が候補に挙げられている。

 一方で、日本では知らない人はいないユニクロも、北米では未だ知名度が低い。塚越社長自身、米ブルームバーグのインタビューで、「北米では『ユニクロって何?』から始まる」と語っており、ソーシャルメディアや既存メディアに大量の広告を打ってブランド認知を上げ、さらに実店舗を両海岸の戦略的な場所に配置することでLifeWearのコンセプトを浸透させたい考えだ。

 こうしたユニクロの動きは米国から見ると、どのように映っているのだろうか。

 コンサルティング企業グローバルデータ(GlobalData)の小売アナリストであるニール・サンダース氏は米小売ニュースサイトのリテール・ブルー(Retail Brew)の取材に対し、「ユニクロは、かつて米アパレル大手のギャップ(Gap)がシェアを持っていた領域に進出している。興味深いのは、今のユニクロが、ギャップなど米小売があるべきであった姿を反映していることだ」と述べ、米競合の低迷に乗じてユニクロが勢いづいていると示唆した。

 サンダース氏はさらに、「ユニクロは店舗数を減らしているギャップなどから市場シェアを奪いつつあり、『より高品質なお手頃ベーシック』を売り物にするZaraやH&Mからも客を奪っている」との見解を示した。

 ちなみにギャップは、若年層に人気のオールド・ネイビー(Old Navy)、バナナ・リパブリック(Banana Republic)、アスレタ(Athleta)などのブランドを擁するが、業績は思わしくなく、2023年7~9月期の売上は前年同期比15%減と冴えない。

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