最強ECシーインが米国でフォーエバー21と資本提携 その狙いと日本への影響とは
スパーク・グループの意図は何か?
では、このように制空権を奪ったECガリバー達は次に何をするかと言えば、地上戦に持ち込みデジタルを生活の中に溶け込ませ、逆にそれぞれの売場特性にあったデジタル戦略を店舗ごと、エリアごとに変化させているし、そうすべきだと思う。
例えば、百貨店とショッピングモールではデジタルの使い方は違うだろうし、宝石と雑貨でも違うだろう。総物販が60%を超え、「クルマでもECで買う」といわれている中国と「5万円超えたらネット(で買うのは)は怖いわ」という人も少なくない日本人を一緒くたにはできない。
本件に関する様々な記事を探して読むのだが、例外なくフォーエバー 21とシーインのクロスチャネルによる「事業シナジー」がクローズアップされている。わかりやすく言えば、ネット専業のシーインは、一気に400店舗のリアル店舗網を使ったアクセスを可能にし、フォーエバー21は3兆円ともいわれるがその実態が未だ不明なシーイン (1億5000万人の顧客基盤がいると公式サイトはアピールしている)の巨大ECの1つのコンテンツとなる。これによって、シーインによる全米制覇が進むであろう。
シーインのグローバルサイトには以下のようなスパーク側の文章が書いてある。
SPARC Group Holdings II LLC today announced a strategic partnership with SHEIN, the global integrated online marketplace for fashion, beauty and lifestyle products. The partnership will focus on meeting the needs of customers in the U.S. and around the world who enjoy affordable, high-quality fashion.
私たち(スパークスグループ)は本日、ファッション、ビューティ、ライフスタイルプロダクトの世界的プラットフォーマーであるシーインとの戦略的パートナーシップを発表します。このパートナーシップは、米国のみならず世界中のお客様にとって「手に届きやすく(買いやすく)」、「高品質な」ニーズを満たすものです。(筆者訳)
ここにハッキリと書かれているように、このフォーエバー21の戦略は日本の戦略とは真逆であることがわかる。フォーエバー21のブランドを保有するオーセンティック・ブランズは、依然、フォーエバー21を安価に手が届き、ファッションを誰でも気軽に楽しめるブランドであると認識し、もともと持つフォーエバー 21の価値がシーイン と酷似しているため、このOMOの親和性が高く、また相互補完が可能だと述べているわけだ。
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