韓国、Kファッションに日本企業が打ちのめされる日 Dholic、MUSINSAの脅威とは
大企業を打ち負かす「MUSINSA」インキュベーション
今、韓国では大企業からイノベーションは生まれない。ドロドロした出世競争に明け暮れているようだ。これに対して、韓国は、MUSINSA(ムシンサ) という日本で言うZOZO TOWNのようなインキュベーションプラットフォームを使い、ネットからリアル店舗へ、という逆コース戦略をとっている。https://global.musinsa.com/jp/
そこでは、個人や数人の少人数チームにKファッションのエッセンスを注入する。そして、このMUSINSAが生産からマーケティングまですべてに投資し、ビッグアパレルに育ててゆく。すでに、韓国内のユニクロの売上シェアを抜くことも見えてきたという。
キム教授は日本人について、個性を出さず「空気を読んで落ち着くところに落とす」日本独特の文化が、日本からイノベーションを奪っていると指摘する。一方で、日本のマーケティング書籍を200冊もよみ、私の論考も過去からすべてスクラップして韓国語に直して韓国内に配布しているという(著作権的にはアウトだが…)。
日本人のセミナーも、時間があるたびに観ているようだ。しかし、その内容はあまりに稚拙で、なんの参考にもならないと断じる。
金教授はいう。彼らのセミナーを聞くと、宝くじに当たった人が「宝くじに当たる方法」と宣っているようなもので、再現性も反証性もない、つまり、科学ではない。それを盲目的に信じ、横文字マーケティング用語を乱発し分かった気になっているのが日本人だという。実際、デジタルを使わずマーケティングもできない人間が、なぜ「デジタルを使えばマーケティングができるようになるのか」と、厳しい指摘が続く。
最後に、日本人への警鐘としてこう語った。「あまりにデジタルに頼り過ぎだ。もっともアパレルビジネスに大事なこと、つまり、商品や事業に魂を込めているのか?と言いたい。大企業になると、決まった仕事を消化することが仕事だと勘違いしている。だから、デジタルのようなものに飛びつき、PLMのようなあやまったものを導入するのだ」と。キム教授が言う通り、PLMはもはや総償却しなければならないほどコスト増の要因となっている。
世界で勝っている企業はファストファッション
日本人の多くは、SDGsを盲目的に信じ、ファストファッションは貴重な資源を奪うものだとして、ネガティブな意見を持っているが、金教授は「違う」という。
実際、中韓のシーイン、Kポップなどでは次から次へと新しいものが生まれ、そのライフサイクルが極めて短くなっている。あえて、短命なものをどんどんだしてゆくわけだ。その一方で「日本のなんちゃってD2Cの80%は失敗しているというデータがある」とキム教授は指摘する。その通りで、日本でD2Cを正しく実行しているケースを聞いたことがない。
ファストファッションとはビジネスモデルの1つである。それゆえ、私も、そのビジネスモデルのどこが悪いのかわからない。特に、シーズンごとに好きなものを買うのが、まさにファッションではないか、と思っており、その点はキム教授と全く同じ意見である。
Kポップのドリームチーム × D2Cが韓国の戦略であり、日本企業が勝てない理由であるということだ。
一方日本の頂点は、昔のワールドのSPARKS構想だった。今の日本企業はすべてが中途半端でアジアの後塵を拝し、やがて買収の嵐にさらされることになるだろうとキム教授は警鐘を鳴らす。脇の甘い日本企業は、買収防衛とIRをしっかりしてゆかねばならない。
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