人件費差で選ぶのは時代錯誤!最新のアウトソーシング、CoEとSSCが経営に必須のワケとは

河合 拓
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CoEが機能するようになった結果、重要性が顕在化してきたSSC

metamorworks/istock
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 こうしたBPOの高度化によってCoEの発展したことで、付加価値のないアウトソーシングがなんなのかということが、皮肉にもその輪郭をハッキリとみせてきた。例えば、突発的に基幹システムの刷新が必要となったため、自社のSIerを集めるのだが、数も質も足りない。こうした平時の最小装備だけで人材をストックしている事業会社が急に大改革を行うということになると、必ずでるのが「本業で忙しくて、そんなことできるか」という怒りの声だ。そこに、いわゆる人貸しをやるのが、シェアド・サービス・センターの略称であるSSCである。

 SSCというと、複数ある重複機能を一つのオペレーションセンターが受け持つイメージがあり、例えば、コールセンターやシステム開発、システムメンテナンスなどが挙げられる。これらの作業はもちろん、人さえいれば良いというほど低付加価値だというつもりはないが、基本的に代替が効く仕事である。 

 私が経験したデジタル企業では、ハイテクはほとんどが米国で開発を行い、世界中に張り巡らされたインターネットのネットワークで、アジア、北米、欧州、などのリージョンにあわせて、開発部隊は最小限に抑え「コンサルタント」を置く。つまり、各リージョンでは、コンサルタントが業務の標準化を可能な限り行い、どうしてもそのリージョンに必要な特殊要件だけ米国に伝えて、米国で開発を行うというフローとなる。

 さらに、SAPのConfigurationも、今はインドや中国企業などにやらせ人件費を減らしているわけだ。実際、SAP/R3の開発者は瞬発的には必要となるが、世の中の流れはオフショア開発が主流だし、今は、AIが開発もやってしまう時代がもうすぐくる。私が個人的に行っている「ビジネスサロン」では、学ぶことによって、その恐怖が身近に感じられ、ITコンサルへ転職したようだ。

 さて、今日はアウトソーシング、いわゆるBPOについて語ったが、以前のような人件費差で安いところにお願いする、などというのは古い発想で、世の中はこの3年でここまで変化した。守秘の壁からこうしたアウトソーシングを採用している企業をご紹介できないのが残念だが、アパレル企業もこれまでの常識をすて、こうした世界企業のあとに続いてもらいたい。

 

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プロフィール

河合 拓(経営コンサルタント)

ビジネスモデル改革、ブランド再生、DXなどから企業買収、政府への産業政策提言などアジアと日本で幅広く活躍。Arthur D Little, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナーなど、世界企業のマネジメントを歴任。2020年に独立。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)
デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言
筆者へのコンタクト
https://takukawai.com/contact/index.html

 

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