人件費差で選ぶのは時代錯誤!最新のアウトソーシング、CoEとSSCが経営に必須のワケとは

河合 拓
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自前のCoE組織が失敗する明白な理由

 こうした、成熟時代では頭脳戦が勝敗を決する。デジタル、企業買収、SDGS、人口減少の4つの力により大きく変貌する経営環境で、どのように生き残るのか、どのような戦略を執るべきかが全てだ。この基本情報を社長に進言するのがCoEで、この組織は自社で結成すると必ず失敗する。

 あるアパレルの経営企画の人間に「こうした動きの結果、どのような影響が考えられるでしょうか」と聞いたところ、「しりませんね。いいかげんなことを行ったら責任をとれないので」という回答だった。いかにも「サラリーマン仕事」なのである。

 しかも、自分の考えはここまでだから、あとは、あなたがやってください、という立場だ。

 そのプロジェクトは混迷を極め失敗することは明らかなのに、考えるまでが自分の仕事で、それを実践するのは別の組織、という考えなのだ。知らぬは社長だけで、このような組織の壁によるサラリーマン仕事をやっている人間ばかりになっている企業は、規模の大小に関わらすどこにでもある。逆に言えば、こうした壁を取り去り、「自分が社長ならどうするか」という考え方ができる人間を集められれば、CoEは機能するのである。

 今、社長には大本営発表とインサイトのない情報しか入ってこず、正しい意思決定ができないでいる。まさに裸の王様状態である。

 BPOを進化させ、ファーストリテイリングがコンサルティング会社や三菱商事とタッグを組んだように、これからのアパレル企業は自前主義を捨て、コンサルティング会社のノウハウを自社内に取り込むアウトソーシングである、CoEの設置が急がれている。

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