第5回 東急ハンズ、ウエルシアに学ぶ!コロナ禍の新買い物行動に対応する「売場の流儀」とは

2021/11/26 07:20
倉林 武也
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ショッパーインサイトを掘り下げる際に、売場や買い物の環境などがショッパーの購買行動に大きく影響することを前回のテーマで取り上げた。対象者をショッパー(買い物客)とした場合、カスタマー(顧客)やコンシューマー(消費者)との捉え方の一番の違いがここにある。
ショッパーがそれほど環境に影響を受けるのであれば、その売場で行われていることや、買い物環境についてあらためて注意をする必要がある。今回は、ショッパーと商品の接点である売場の「流儀」と「見方」について掘り下げてみたい。

売場にある様々な「流儀」について

皆さんが普段無意識に歩き、買い回る売場には様々な情報や売り手(小売業やメーカー企業)の工夫がある。「習慣商材」といわれる、日常使いが多く比較的低単価な商品ほど、この取り組みが重視されている。まずは次のQ1から10の設問を見て「Yes」または「No」どちらかをご自身で考えてみてほしい。

Q1 スーパーマーケットの導線は入り口から右方向に向かう店舗が多い。
Q2 店舗の入り口付近では青果・農産売場が配置されている。
Q3 買い物かごは売場のあちらこちら〈多箇所〉に置かれている。
Q4 生鮮品の売場の中に、調味料や加工食品が一緒に陳列されている様子をよく見る。
Q5 商品が山積みされている売場のエンドは目が留まる。
Q6 売場の照明は入り口付近と生鮮、精肉の売場とではちがう様に思う。
Q7 総菜や鮮魚の売場に、ビールや日本酒などアルコール類の商品が陳列されているのを見る。
Q8 売場の外周を歩くことが多く、サブ通路は目的によって歩く。つまりお客の数はサブ通路より外周の方が多い。
Q9 お米やお酒の売場はレジに近く、買い物の最後に立ち寄る。
Q10 牛乳や卵は売場の奥に配置されていて、他の買い物をしながら立ち寄る。

上記は従来の売場の「定説」と呼ばれているもので、長年に渡り(こうした設問の多くの答えとして)「Yes」言われてきた。

ただしコロナ禍により、これらの内容には変化が生まれた。例えば、買い物を短い時間で早く済ませたいと思う買い物客のために、購入頻度の高い商品を入り口付近に陳列したり、至る所に置いていた買い物かごを衛生面から「衛生済み」のPOPを付けて入り口で手渡したり、レジ周辺で訴求(陳列)する商品を変えたりと、様々な変化が見られるようになった。

この様に買い物行動に合わせてその店が行う売場づくりや販売のやり方を、筆者は「売場の流儀」と呼んでいる。

コロナ禍によってお店では以下のような新しい買い物行動が生まれた。

●あらかじめ用意した「買い物メモ」をチェックしながら買い物をする。
●買い物客は店内での買い物を短い時間で済ませたい。
●インスタントや冷凍食品など保存期間の長い商品を購入(使いながら備蓄)する。
●レジ周りでの「ソーシャルディスタンス」から、レジ付近での買い物行動が変わった。
●まとめ買いが増え、以前に比べて買い物かごや買い物カートの利用が高まった。
●健康、安全安心、免疫力に関する商品やサービスへの関心が高まった。
●男性(20代から40代)ひとりの買い物客が増えた。
●時短を目的にする買い物と、手づくりなど時間をかける料理のための買い物とを使い分けるケースが生まれた。
●免疫効果のある商品を、その機能を紹介するPOPを付けて店内の目に付く場所に集積する。

ではこうした買い物行動に売場ではどのような「流儀」が反映されているのか、具体例をみていきたい。

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