コロナ禍なのに好調なアパレル「ミズイロインド」、異色のブランド戦略

2021/09/16 05:55
堀尾大悟
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「自分がやりたいと思うかどうか」に忠実に

 他のアパレルメーカー同様、マザーズインダストリーも、20204月、5月の売上は緊急事態宣言を受け大きく落ち込んだ。ところが「マーチャンダイジング部門の素早い動きで影響を最小化できました」と笹野氏は語る。

 「当社では普段からサステナブルな取り組みとして“在庫ゼロ計画”を掲げ、余剰な在庫を抱えないマインドが全社に浸透しています。緊急事態宣言の時もマーチャンダイジング部門が週単位で品番別の売上シミュレーションの精度を向上させ、その新しいシミュレーションに沿って適切に納品を行うことができたのです」(同)

 社員一丸となって在庫リスクを最小限に食い止めたことで、自粛期間のピンチを乗り切り、7月からは業績が再び黒字に転じた。そして9月にはECサイト、11月にはアプリの全面リニューアルという「攻め」の一手を打ち、リアル店舗の売上の落ち込みをカバーした。

代表取締役
笹野信明代表取締役

 笹野氏は繰り返し、「マーケティング戦略だけではなく、常に『自分がやりたいと思うかどうか』に従って意思決定してきました」と強調する。「ショップの出店を決めるのも、商圏分析はもちろんですが、それだけではなく感性やマインドが大切。その地域や商業施設の方の『ぜひ出店してほしい』という思いを受け、心が動いたら出店を決めています」

 実店舗については、このコロナ禍にあって、神戸・三宮に西の旗艦店となるミズイロインド 神戸店のプロジェクトを進めていた。昭和初期から残るレトロビルのリノベーション計画の一環だ。ビルオーナーの思いを汲み、笹野氏が決断したミズイロインドの新ショップは、20218月18日に無事グランドオープンを迎えた。古い意匠を残しながら最新ファッションと融合した空間は、地元の建築ファンからも注目を集めているという。

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