事業横断でシナジーを発揮しペットのコンシェルジュをめざす=イオンペット 小玉 毅 社長

聞き手:千田 直哉 (編集局 局長)
構成:小木田 泰弘
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専門店用のオリジナル商品を増やす

イオンペット

──イオンペットは、グループのプライベートブランド(PB)「トップバリュ」のペット関連商品の開発を手掛けています。

小玉 グループ会社からの業務委託というかたちで「トップバリュ」商品の開発を行っています。

 また、イオンリテール(千葉県/岡崎双一社長)とマックスバリュ関東(東京都/後藤清忠社長)のペット関連売場の棚割り作成業務も受託しています。手数料収入になりますが、これも当社の事業の1つの柱となっています。

──イオンリテールとマックスバリュ関東のペット関連商品の仕入れは、イオンペットが行っているのですか?

小玉 仕入れの実務自体は両社が行っていますが、メーカーやベンダーさんとの交渉は当社が行っています。これをほかの総合スーパーや食品スーパー、ドラッグストア、コンビニエンスストアなどを含めてグループ全体で行えば、とても大きい金額になります。スケールメリットをテコにすれば、ナショナルブランド(NB)商品の仕入れ原価低減や商品開発をさらに進めることができるでしょう。

──どのような商品を開発していく方向ですか。

小玉 現状、ペットフードやペット用品はNB商品が中心です。

 PB「トップバリュ」は、どちらかといえば価格訴求型のものが多い。これをメーカーさんとタッグを組んで専門店用の商品を増やしていきたいと考えています。

 具体的には、ペットフードではプレミアム系の商品です。「オーガニック」や「ナチュラル」を切り口にした付加価値商品で、近年、大きく伸びているカテゴリーです。たとえば犬なら、「肥満」「関節」「皮膚」などのほか、年齢別、犬種別のペットフードがあり、プレミアム系の商品はよく売れています。

 このように当社が商品開発に力を入れていこうとしているのは、ネット通販の開始を視野に入れているからです。

 ペット関連商品のネット通販比率は約2割といわれていて、ペットフードは重くてかさばるものの代表例ですから親和性は高い。しかし、NB商品をネットで販売しても低価格競争に陥るだけです。ですからオリジナル商品を開発していこうとしているのです。

 当然、われわれだけではできないので、3年くらいかけてお取引先さまと一緒に商品を開発してきたいと考えています。

──イオングループは「アジアシフト」戦略を打ち出しています。海外での成長可能性をどうみていますか。

小玉 現在、当社は中国に2店舗を展開しています。

 アジア地域では、とくに中国とタイのペット市場が大きく伸びるとみています。この2カ国は日本と同じようなペットの飼育スタイルが定着してきていますから、成長機会は大きい。中期的に中国のペット市場は日本の2倍くらいまで拡大するでしょう。中国とアセアン地域を合わせると5兆円くらいのマーケットになると思います。ですからわれわれはアジアでナンバーワンのペット専門店チェーンになるつもりでビジネスを展開してきたいと考えています。

 日本でも海外でも、ペット関連のビジネスはまだまだ大きくできると思います。当社の売上高は約300億円ですが、1000億円をめざしたいと考えています。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

構成

1979年生まれ。2009年6月ダイヤモンド・フリードマン社(現ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。「ダイヤモンド・チェーンストア」誌の編集・記者を経て、2016年1月から「ダイヤモンド・ドラッグストア」誌副編集長、2020年10から同誌編集長。

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