激動の流通 #5 ドラッグストアの次なるターゲット

森田俊一(流通ジャーナリスト)
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次の舞台は「小商圏」か!?

 そして昨今は、「ドラッグストア」を一括りで比較するのも難しくなりつつある。マツキヨやココカラのような「医薬品+化粧品」型のドラッグストアもあれば、最近は売上高上位のドラッグストア企業が、生鮮食品を備えた生鮮強化型の店舗を展開している。

 ある経営コンサルタントは、「(生鮮食品の導入により)ドラッグストアは一段と小商圏に土俵を変えていくだろう」と語る。通常の買物は豊富な品揃えの食品スーパーなどで済ますものの、買いそびれたり、購入したが足りなかった生鮮食品はドラッグストアで買うという行動も定着しつつある。

 これを促進しているのが、ドラッグストアの「爆発的」とも言える食品の安売りである。

 大手ドラッグストアチェーンの食品の粗利益率を見ればわかりやすい。ウエルシアホールディングスの20年2月期における医薬品の粗利益率は40.7%であったのに対し、食品は20.9%。ツルハホールディングスも医薬品41.5%に対し、食品15.1%となっている(20年5月期実績)。

 一定のカテゴリーの粗利益率を抑え、集客装置とし、ほかの粗利益率の高いカテゴリーを同時購買してもらう、というのは、チェーンストアのオーソドックスな手法である。医薬品という、一定の需要があり、かつ高粗利益率の商品を扱うドラッグストアだからなせる技でもある。

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