小売業サラリーマン太閤記最終回 ユニー“中興の祖” 家田美智雄さん、在任4年の実績と後継者選び

2020/09/17 05:55
千田直哉

ユニーの“中興の祖”の1人である故家田美智雄さんという流通業界最強のサラリーマン経営者を全6回で振り返る連載・小売業サラリーマン太閤記。最終回となる第6回は、家田さんの経営哲学と残した実績から4年間の社長在任時代を総括する。実績を上げられるトップとそうでないトップの違いはどこにあるのか、家田さんの4年の総括からはっきりと見えてくる。

家田さん
家田美智雄さん

3年かけても成果を上げられなかった旧経営陣
3ヶ月で数字を残した家田さんの違い

 家田さんが復帰する以前――ユニーがどんどんとおかしくなっていった頃、社内には「業革委員会」という組織が立ち上げられていた。委員会内にはいくつものプロジェクトチームが存在し、喫水線がどんどん下がっていく船から水をかき出すべく、選ばれたメンバーたちは懸命にユニーの改革に努めてきた。

 旧経営陣は、危機的状況の中で、何もしていなかったわけではなかったのだ。

 しかし、3年間の歳月を要しても、まったくうまくいかず、業績は悪化の一途をたどっていった。

 大企業病や官僚主義を前に、委員会は蟷螂之斧(とうろうのおの)と化し、機能しなかったのである。 

 

 他方、家田さんは、着任3か月でさまざまな改革を実行し数字を残した。

 後日、家田さんは、プロジェクトチームのメンバーだった社員に「この違いは何なのですかね?」と聞かれた。

 すかさず、「俺に権力があるからだよ」と答えている。「結果がでなければ、『もう明日からお前は来なくていいから』と言えるからね」。

 

 このように、家田さんはユニーのリストラ策を実行する中で、厳しい政策を断行したり言ったりしてきたという自覚がある。その裏にあったのは「それでも潰れるよりはいい」という思いだ。

「信仰心が非常に厚い会社がある。本来なら神様がバックにいれば企業は絶対に潰れないはずだ。しかし今の時代は神様さえあてにならない。ということは、他力本願ではなく、自分たちでやるしかないんだ」。

「うちの社員は、俺のような社長が来て、とてもかわいそうだと思うんです」。

 しかし、「上司は選べないからあきらめろ。理想の上司像なんかを追うとおかしくなる」と言って、あえて自己否定することも避けてきた。

 

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