勝ち方に強さが出る!TOKYO BASEが今後さらに大躍進する明確な理由と2つの課題とは
TOKYO BASEが抱える2つの課題
このように乗りに乗っているTOKYO BASEだが、リスクが無いわけでもない。
それは、海外戦略における、先が見えないへの中国一極集中だ。同社は、香港にも店はあるも、売上構成比では3%弱(店頭売り上げペース)で、約10%が中国だ。
今、中国と日本は緊張関係にあり多くのグローバル企業が「プラス・ワン」といって、中国から東南アジアに商売を広げている。ファーストリテイリングも東南アジアを攻めることで売上をあげようとしているため、TOKYO BASEもいきなり米国のような難易度の高い市場(ユニクロも最後の最後まで赤字だった)と中国の2面展開では、あまりにオペレーションもMDも違うのではないだろうか。
谷CEOは、ロンドン、パリ、ミラノ、ニューヨークソウル、と、私が聞いても「格好良い」「シティ」に嗜好品を求める層がいて、そこに店をだすことでブランド化を狙っているようだが、同時に、こうした激戦区では競争も激しく、また、必要な人材は慢性的に不足しているように思う。ここをどう乗り越えるかが一点目だ。
もう一点は、上記の結果として日本市場に頼る(今でも90%が日本市場)ことになるが、日本市場はすでに成熟しており、高額仕入(=原価率が高い)のセレクト品がよく売れるため、利益率の高い自主開発商品をどこまで目の肥えた日本人に訴求できるのかである。一般的に、自主は上代比20-35%で、セレクト品は45%-50%と10-20%もコストに開きがある。私はセレクト品はいっそのこと値段をあげてみればよいのではないかと思うがどうだろう。
いずれにせよ、「アパレルの常識」をここまで覆し、他のアパレルと全く違う戦い方をしているTOKYO BASEを、単に勝った、負けた、の二択で評価するのは正しくない。
我々コンサルは、むしろ「戦い方」に未来があるかどうかが大事であり、その意味でTOKYO BASEは私のような分析屋にとってしてみれば非常に興味深い会社である。
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プロフィール
株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。
著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「
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