高齢社会を追い風に変え、「健康屋」で成長カーブを描く=ウエルシアHD 高田隆右 社長

聞き手:千田 直哉 (編集局 局長)
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 同業者のいくつかは、生鮮食品を扱ったり、廉価販売のみに必死になっているけれども、私はこの土俵に乗ったところで意味がないと考えています。

 たぶん、時代も私たちに生鮮食品の取扱いや食品の廉価販売を求めていないと思います。しかも食品市場は、シュリンクしているにもかかわらず、取扱い企業は増加する一方であり、競争は激化するだけです。

──それよりも、いいマーケットがある。

高田 そうです。さきほどお話ししたとおり、超高齢社会にフィットした質量ともに期待できる市場が目の前に開けているわけですから、むしろ、その新しい市場に向けての商品を開発していきたい。

 リアル店舗を展開する以上、店舗数を増やさないことには株式市場は認めてくれません。同じマーケットの中で、同業他社が同じ動きをするわけですから、1店舗当たりの売上高が減少していくことは必至です。ということは、従来型の売上至上主義では、行き詰りが見えているわけです。

 そこでシフトしなければいけないのは、利益重視主義です。粗利益率をしっかり確保しなければいけませんから商品開発は不可欠と言わざるをえません。

 ですから、私たちもユニクロ(山口県/柳井正社長)さんのようにSPA(製造小売業)型商品をいかに開発できるかにかかってきていると思います。全商品を対象にするのではなく、得意の分野でSPA形式を導入すればいい。

 幸運なことに、当社の大株主にはイオン(千葉県/岡田元也社長)さんがありますので、プライベートブランドであれば、イオントップバリュ(千葉県/仲矢長蔵社長)さんに協力を仰いで、製造してもらうことができます。

 ただ、それだけでは不十分だとも考えています。「差別化をもって戦わずして勝つ」というのが当社のスローガンですが、その意味で言うなら、市場に現存しない商品を製造・販売していくことも考えています。

 この部分においては、医薬品の開発は非常に難しいので、健康食品の分野に傾注していきたい。医薬品と同等レベルに近いところまで効果を期待できる健康食品を開発することは可能です。成分構成を変更したり、新しい成分を使用したサプリメントを開発したりと、もう実際に取りかかっています。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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