家丸ごと一戸へのソリューションを提供する=ヤマダ電機社長兼COO 一宮忠男

聞き手:千田 直哉 (編集局 局長)
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ナショナルチェーンは3~4社しか生き残れない

──次に商品政策。中でもPB(プライベートブランド)についての考え方を聞かせてください。

一宮 食品や衣料や家具とは違って、家電製品のPBはなかなか難しいものです。白物家電や黒物家電は、ブランド力で買われるものだからです。たとえば、過去に海外メーカーさんがテレビで日本に本格進出しようとしましたが、結果的には失敗しました。それは、日本人がブランドにこだわったからです。やはり日本のナショナルブランドは強力です。ですから、日本では、家電の海外ブランドも育ちにくいのです。

 同じような理由から家電のPBはなかなか難しい。しかし、専用モデルというかたちはあると思います。メーカーさんとタイアップし、ブランドを使わせてもらい、その中で当社しか売らない商品をメーカーさんと共同開発するという格好であり、現実にそれはやっています。

──住宅や住宅設備機器のPBの可能性はどうですか。

一宮 住宅や住宅設備機器については、現実にPB開発の動きもあります。しかし、現状の当社のコアは家電ですから将来に向けて──ということになります。

──ヤマダ電機は、今現在、家電販売市場ではトップシェアを握っていますが、この先、どのくらいまで伸ばせると考えていますか?

一宮 私どもはシェアにはこだわります。現在の家電販売市場におけるシェアは27%。カテゴリーによっては40%を超えるものもあります。それだけに力のある企業にならなければいけません。力とは、利益を出せる企業で、それを通して社会に貢献できる企業になるということです。そのためにシェアを拡大すると考えています。

──そう考えると業界の再々編も起こるとみていいですね。

一宮 そうです。私どもの考えでは、家電販売市場は、ナショナルチェーンは最大に残って3~4社でしょう。10年前との比較で言えば、すでに相当の企業が合従連衡しています。グローバル的に見れば、欧米や中国の現状は、寡占化が進み現在は1~2社程度。その流れから見れば、日本はこの狭い国土の中で企業数が多すぎるのかもしれません。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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