減益着地も高水準のアクシアル、22年度注力する成長に向けた“種蒔き”とは

棚橋 慶次
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コスト高背景に23年3月期も減益着地を予想

 アクシアルの22年3月期は、売上高がほぼ横ばいの着地となったが、前期の巣ごもり消費に対する反動減があったことを考えると、まずまずの業績といってよさそうだ。コロナ影響を受ける前の20年3月期と比較すると、売上高は6.7%増も伸びている。

 利益面については、売上総利益はほぼ横ばいだったが、人件費が同1.4%増となったことに加え、販売費(同2.0%)や店舗費(同4.9%増)も増加傾向にあり、営業利益を圧迫した。

 もちろんそれに対して手をこまねいていたわけではなく、期中は生産性向上にむけたTQM(総合的品質管理)活動の推進、経費支出決済ルールの厳格化、レジオペレーションの効率化、コストカット委員会の活動強化などに取り組みコストダウンを図ってきた。それらの取り組みは一定の成果を得られたとのことだが、一連の販管費増を補うまでには至らなかった。

 23年3月期の業績予想では、売上高が対前期比0.4%増の2475億円、営業利益が同4.9減%の98億円、当期純利益が同13.8%減の61億円を見込むアクシアル。

 エネルギー価格の高騰に伴う電気料金や物流コストの上昇などが利益を圧迫し、各段階利益は2期連続の減益着地となる予想で、売上高営業利益率も4%を割り込む見通しだ。

今期は「種蒔き」に注力?

 アクシアルでは、経営環境の変化に応じて毎期計画を見直す、いわゆる「ローリング方式」で3カ年の中期経営計画を策定、実行している。

 去年発表した中期経営計画では、24年3月期に売上高2540億円、売上高経常利益率4.2%を目標に掲げていた。今回の決算発表時に発表した中期経営計画では、24年3月期の売上高目標は2530億円、売上高経常利益は3.9%に下方修正している。
 
 前述のコスト高要因をはじめ経営環境は厳しさを増しており、優良チェーンとして名を馳せるアクシアルにも強い逆風が吹いている。そうした中で、23年3月期は「“楽しみの種をまく” ―泥まみれで耕す、実るまでやる―」を経営方針に掲げ、「再整備(畑を耕し直し)」、「開拓・開発(新しい種を蒔く)」、「新しい価値観への対応(これからの時代を見据えて)」の3本柱に取り組む。

 23年3月期の設備投資額は63億円で、24年3月期は93億円、25年3月期は104億円を投じる計画だ。実直に施策を推進することには定評がある企業なだけに、種蒔きの後に訪れる“実り”に期待したいところだ。

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