しまむらもヤマダホールディングスに続くか 「大型自社株買い」の機が熟したといえる理由
しまむら経営陣が検討すべき資本政策とは
しまむらがM&Aの標的になるかどうかは、株主構成の検証と定款の確認も必要になります。
そこで開示データを見ると、創業家関係者等で3分の1を超える一定の議決権を維持しており、買収がすぐになされるような事態にはならないように思います。
しかし、
資本政策として検討すべきは2点あります。
その第一が配当です。
現在しまむらは配当性向25%、DOE(株主資本配当率)2%、ROE8%以上という目標を掲げ、十分な手元資金を確保しながら持続的成長を目指すとしています。
しかし、これらの計数目標は既に達成されてしまっています。
さらに、今後巡航速度での成長をめざすとしても、当期純利益の少なくとも5割程度は毎年余剰になってくるように思われます。
したがって、配当性向を現在の25%から50%程度に引き上げても支障が出るとは考えにくいと思います。しまむらが最も手掛けやすい、株主還元策ではないでしょうか。
第二は手元現金等です。
先ほどのEV/Ebitdaの明細を見てみましょう。
直近の株価と2022年2月期の財務データを当てはめますと(ここでは便宜的に余剰現預金ではなく現預金残高を使用します)次の通りになります。
EV= 株式時価総額4070億円 + 有利子負債残高ゼロ – 現預金1854億円 = 2216億円
Ebitda= 営業利益494億円 + 減価償却費等59億円 = 553億円
現預金が大きく、
この現預金の残高こそ、EV/Ebitdaの低さの主因になっています。
この数値を見る限り、まず年々の配当性向を大幅に引き上げてもこれだけの現預金等があれば、同社の成長戦略には支障がないことがうかがえます。
さらに、この余剰現預金を自社株買いに当てても構わないと思います。
自社株買いによって株価の需給はタイトになりますし、ROEの分母を削減することでROEを引き上げる効果が期待できます。
大規模な自社株買いを行うと、
しかし、
全体としてみれば悪くない選択肢だと考えます。
業績が回復してきたしまむら。資本政策が変化するのか、大いに注目すべき局面です。