構成比10%を目指すイオンリテールのネットスーパーが店舗出荷型にこだわる理由とは

Pocket

ネットスーパー新時代

イオン(千葉県/吉田昭夫社長)の中核会社で、総合スーパー(GMS)や食品スーパー(SM)を展開するイオンリテール(千葉県/井出武美社長)。同社は新型コロナウイルス(コロナ)感染拡大下で社長直轄組織「ネットスーパー本部」を立ち上げ、出荷拠点店舗数の拡大や提案力の強化を推進している。直近の具体的な施策と、今後の成長戦略を取材した。

ネットスーパー全店でピックアップに対応

 ネットスーパーの需要が拡大したコロナ下で、イオンリテールが運営する「おうちでイオン イオンネットスーパー」(以下、イオンネットスーパー)も好調だ。その売上高は、コロナ感染拡大直後でネットスーパーの利用が進んだ2020年度と比較しても2割以上、なかには3割以上伸びているエリアもあるという。

イオンリテールのネットスーパー、ドライブピックアップエリア
ドライブスルー方式のほか、店内カウンター、専用ロッカーで受け取れるピックアップサービスを、ネットスーパーサービスを提供する全店で導入している

 好調の背景でイオンリテールは20年6月、「ネットスーパー本部」を新設した。ネットスーパー戦略の実行の加速と、サービスの利便性向上を目的とする社長直轄の組織である。

イオンリテールネットスーパー本部長の太田正道氏
ネットスーパー本部長の太田正道氏

 イオンネットスーパーは商品を店舗から出荷する「店舗出荷型」の形態をとっている。同部署ではまず、商品の出荷拠点となる店舗数の拡大に注力してきた。ネットスーパー本部の太田正道本部長は「コロナ下での急激な需要増によってお客さまがご注文いただけない状況を解消するために、早急に供給能力の拡大を高めていった」と説明する。

 20年度末には拠点数をイオンリテールの約400店中・200店の大台に乗せ、21年度12月末時点でその数は226店舗に上る。結果、サービス提供店舗は約230まで広がった。22年度も約30店のペースで出荷拠点店舗を増やす方針だ。

 同時に進めていったのが、ネットスーパーを提供する全店へのピックアップ・サービスの導入だ。現在、ドライブスルー方式で商品を受け取る「ドライブピックアップ!」は112店、店内のカウンターで受け取る「カウンターピックアップ!」は193店、専用ロッカーで受け取る「ロッカーピックアップ!」は34店ある(1店で複数のピックアップサービスを導入している店舗あり)。ネットスーパー利用者のうち2割ほどがピックアップサービスで商品を受け取っている店舗もあり、着実に利用が広がっている。

 供給量の拡大だけでなく、利用者の離反につながる欠品率の引き下げにも力を注いできた。実店舗には

続きを読むには…

この記事はDCSオンライン+会員限定です。
会員登録後、DCSオンライン+を契約いただくと読むことができます。

DCSオンライン+会員の方はログインしてから閲覧ください。

1 2

記事執筆者

ダイヤモンド・チェーンストア編集部 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア

ダイヤモンド・チェーンストア編集部は、業界をリードする提案型編集方針を掲げ、小売業の未来を読者と共に創造します。私たちは単なるニュース伝達に留まらず、革新的なビジネスモデルやトレンドを積極的に取り上げ、業界全体に先駆けて解説することを使命としています。毎号、経営のトップランナーへの深掘りインタビューを通じて、その思考や戦略を読者に紹介します。新しくオープンする店舗やリニューアルされた店舗の最新情報を、速報性と詳細な分析で提供し、読者が他では得られない洞察を手に入れられるよう努めています。私たちの鋭い市場分析と、現場の細部にわたる観察を通じて、注目すべき店舗運営の秘訣を明らかにします。

ダイヤモンド・チェーンストア編集部紹介サイトへ

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態