加速するトライアルのリテールDX 宮田店が示すスマートストアの最前線を徹底解説

取材・文:中原 海渡 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)、植芝 千景 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集者)
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スーパーセンター(SuC)業態をメーンに、全国284店舗(2023年4月時点)を出店するトライアルホールディングス(福岡県/亀田晃一社長:以下、トライアル)。売上高6000億円(22年6月期:5975億円)に迫る勢いの同社は近年、AI活用などのデジタル領域の取り組みに力を入れている。それら技術を売場に実装した注目店舗と、開発拠点(トライアルIoTラボ、MUSUBU AI)をレポートする。

デジタル活用で優れた顧客体験を創出

 トライアルは近年、「リテールDX」を掲げ、AIやIoTといったデジタル領域の開発に注力している。すでに店舗に実装されている取り組みの例として、「デジタルサイネージ」「リテールAIカメラ」「スマートショッピングカート」などがある。

 このうち、売場で商品を提案する「デジタルサイネージ」はメーカーと共同で制作した映像広告を打ち出している。売場天井部に設置する「リテールAIカメラ」はお客の行動や商品の動きを画像認識してAIを用いて分析し、需要予測や欠品トレンドの把握による発注の最適化・棚割りの改善などに活用。さらに22年4月オープンの「トライアルGO脇田店inみやわかの郷」では、総菜の一部アイテムについて売場の在庫数をカメラで認識し、消費期限が近付いた商品の電子棚札に適切なタイミングで値下げ後の価格を自動反映させる取り組みも行っている。廃棄ロスを減らし棚効率の向上を実現するほか、値下げ価格への変更に係る店舗業務の省人化を可能にしている。

 そして、「スマートショッピングカート」はお客が自ら商品をスキャンし、専用のレーンを通過するだけで決済が完了するデバイスだ。レジに並ぶ必要がなく手早く支払いを完了できる利便性がお客に支持され、店舗での利用率は現在約41%に上っているという。

トライアルのスマートショッピングカート
店舗での利用率は現在約41%に上っている

 トライアルはこのようにデジタル活用によって優れた顧客体験を生み出しているわけだが、こうした「リテールDX」による革新は自社の利益だけを求めて推進しているわけではない。トライアルは小売のみならず卸やメーカー、物流を巻き込むことで、業界全体で「流通革命」を起こしたいと考えているのだ。

AI、IoT技術の開発拠点を設置

 流通革命を実現するため、21年7月より開始したのが「リモートワークタウン ムスブ宮若」プロジェクトだ。企業、行政、市民を巻き込んだ同プロジェクトは、福岡市と北九州市の中間に位置する宮若市に「リテールAI開発拠点」を設けるところから始まった。

 最初に開設したのが

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取材・文

中原 海渡 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

神奈川県出身。新卒で不動産仲介業の営業職に就き、その後ライター/編集職に転身。

2022年10月に株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。ダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集部記者として記事執筆・編集を行う。

趣味は音楽鑑賞(ポップス/ロック)と、最近はレコード&カセット収集。フィジカルメディアが好きで、本も電子書籍より実物派。

取材・文

植芝 千景 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集者

同志社大学大学院文学研究科(国文学専攻)修了。関西のグルメ雑誌の編集部に所属後、ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。日本酒、特に関西の地酒好き。趣味は、未知のものを食べること。「口に入れてから考える」ことをモットーに、日々さまざまな食べものを味わっている。

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