トライアルHD、東証グロース市場に上場 経営トップが語った今後の展望とは?

2024/03/23 05:54
雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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トライアルホールディングス(福岡県:以下、トライアルHD)が3月21日、東京証券取引所グロース市場への上場を果たした。IPO(新規株式公開)の規模は今年最大の約388億円に上り、時価総額は2600億円を超えるなど市場から大きな期待を集めている。生鮮を中心とする食品強化の取り組みと、メーカーや卸、ITベンダーなどと一体となったリテールDX戦略を推進する同社。上場というビッグイベントを経て、どのような成長図を描いていくのか――。

上場日の時価総額は2600億円超 大手小売に比肩する規模感に

トライアルHDが3月21日、東証グロース市場へのIPOを果たした
トライアルHDが3月21日、東証グロース市場への新規上場を果たした(左からトライアルHDの亀田晃一社長、Retail AI社の永田洋幸社長)

 トライアルHDは昨年4月にグロース市場への上場を計画していたが、予定日9日前になって上場手続きの延期を発表していた。「昨今の金融機関の破綻等を契機とした混乱が続く中、株式市場に関する動向等を総合的に勘案」(当時のプレスリリースより)という理由からだった。 

 その後、今年2月14日に東京証券取引所よりグロース市場への新規上場が承認されたことを再度発表。3月21日に同市場への上場を果たした。

 公募・売出価格は仮条件の上限1700円に決定。株式公開後の初値は2215円をつけて一時は2500円を超え、終値は売出価格を約3割上回る2200円となった。終値時点での時価総額は約2610億円。グロース市場の時価総額ランキングで一挙にトップへ躍り出ており、まずは市場からの大きな期待感が示されたかたちだ。

 ちなみに上場初日時点での単純な比較にはなるが、ライフコーポレーション(約1921億円)やユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(約1312億円)、イオン九州(約1048億円)、イズミ(約2530億円)といったスタンダード、プライム市場に上場する大手食品小売を上回る規模だ(いずれも3月21日の終値ベース)。

24年6月期の売上高は7000億円超える見通し 生鮮強化で既存店が力強い成長示す

メガセンタートライアル郡山八山田店の青果売場
近年力を入れる生鮮強化の取り組みが奏功し、既存店売上高も大きな成長を示している

 トライアルHDの23年6月期の連結売上高は対前年同期比9.7%増の6531億円、営業利益は同15.9%増の139億円。24年6月期も同8.9%増の7110億円、営業利益は同33.0%増の185億円を見込んでおり、直近の業績は好調に推移している。

 好業績の要因としては全国での積極的な出店政策のみならず、既存店売上高の力強い成長によるところも大きい。22年12月~23年12月の1年間で見ても、月次ベースで前年同月実績を3~10%上回るペースを維持している。これは主に、近年注力してきた生鮮食品と総菜強化の取り組みが奏功し、来店頻度の向上につながっているためだ。

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記事執筆者

雪元 史章 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

上智大学外国語学部(スペイン語専攻)卒業後、運輸・交通系の出版社を経て2016年ダイヤモンド・フリードマン社(現 ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。企業特集(直近では大創産業、クスリのアオキ、トライアルカンパニー、万代など)、エリア調査・ストアコンパリゾン、ドラッグストアの食品戦略、海外小売市場などを主に担当。趣味は無計画な旅行、サウナ、キャンプ。好きな食べ物はケバブとスペイン料理。全都道府県を2回以上訪問(宿泊)。

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