食品スーパーが2022年、PBと総菜に力を入れる事情と「総菜復活」への懸念とは

宮川耕平(日本食糧新聞社)
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総菜拡大の順風満帆は続くのか?

 期待の高まる総菜は、確かにコロナ禍で一段と進化を遂げました。当初の逆風が多くのことを見直すきっかけになったという印象です。この間、自宅で過ごす時間が増えたことで、昼食や間食のマーケットが拡大したほか、家飲みのような機会も創出されました。

 消費機会の拡大に合わせて寿司や弁当のメニューは多様化し、インストアベーカリーもピザやサンドイッチなどが充実、デザートは新商品が精力的に開発されるようになりました。家飲み向けの一品料理も、和洋中や魚介・畜肉・野菜軸などさまざまなトライアルが続いています。

 利用シーンも需要も拡大した総菜ですが、無条件で前途揚々とは言えないかもしれません。

 食品スーパーの来店頻度が総じて低下していることは、客数減が示す通りです。食品スーパーにおける購入スタイルはまとめ買いの傾向を強めており、ストック型の消費スタイルは即食の総菜にとってプラスではありません。コロナ禍で広がった昼食・間食・家飲みシーンも、アフターコロナの揺り戻しが出てくる可能性はあります。こうした懸念が顕在化するのかどうかは、22年度の注目点だと思います。

 新たな販路としてネットスーパーの活用のほか、即時配送のQ(クイック)コマースを導入する実験も広がっていますが、今のところQコマースでも売れ筋はネットスーパーと似ていて、即食の総菜が上位に来るとは限らないようです。即時配送は総菜との親和性が高そうなサービスですが、総菜の利用機会を広げる手段になるのかどうか、今のところ未知数です。

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