食品スーパーが2022年、PBと総菜に力を入れる事情と「総菜復活」への懸念とは

宮川耕平(日本食糧新聞社)
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総菜が生鮮3品をしのぐ稼ぎ頭に

コロナ禍にあってメニューの多様化・深掘りが進んだ(マルエツ武蔵新城店)
コロナ禍にあってメニューの多様化・深掘りが進んだ(マルエツ武蔵新城店)

 続いて総菜です。その収益性に対する期待は高まっています。

 USMHのデリカ部門は、21年度の粗利率が42.9%でした。売上構成比12.0%は、精肉(10.8%)・鮮魚(9.0%)を上回り、粗利高の構成比18.8%は加工食品(22.1%)、日配(22.9%)に続くもので、生鮮3品を上回ります。収益に占めるこの重要性を見れば、藤田社長が事業会社の取り組みテーマとして「デリカテッセンの構成比をいかに上げるかは粗利額を高める大きな鍵」と位置付けるのもうなずけます。

 ライフの21年度における総菜の粗利率は54.9%でした。売上構成比11.0%は、畜産(11.2%)と拮抗します。21年度は、総菜の売上増が全体の粗利率改善につながったといいます。

 イズミは、総合スーパー(GMS)を核とするショッピングセンター(SC)主体の事業展開から、食品スーパーとそれを核とする近隣型ショッピングセンター(NSC)による成長へと舵を切るべく、25年度までの中計で基盤づくりを進めています。

 このSM戦略で鍵となるのが、やはり総菜です。総菜は5分商圏のシェアを高めるためのドライバー役であるだけでなく、他の部門で価格訴求を強める際の原資を作り出す部門とも位置付けられています。

 山西泰明社長は「総菜の粗利率は21年度で45%くらい、構成比は12~13%という現状。この構成比を15%にもっていきたい。そうして増やした粗利を、新しい顧客を獲得する際の価格訴求に回していく」と語っています。

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