減塩市場、味噌や醤油を中心に堅調に推移、新たに主食系もラインアップが拡大

文:山田 陽美
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コロナ禍を経て生活者の健康意識がますます高まり、高血圧などの生活習慣病の予防や対策として、減塩商品を取り入れる人が増えているようだ。味噌や醤油などの調味料、加工食品だけでなく、主食系でも減塩商品が広がっている。

値上げの影響により23年4月以降金額ベースでプラス

 日本人の平均寿命が長くなるにつれ、元気な状態で生活ができる健康寿命の延伸への意識が高まっている。そのために気を付けたいことは、あらゆる病気につながる疾患のひとつである高血圧だ。高血圧の最大の原因は塩分の過剰摂取。厚生労働省の国民健康・栄養調査「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、日本人の1日の平均食塩摂取量は9.5gで、年々減少傾向にあるが、それでも目標量より2.5g~3.5gほどオーバーしている状態だ。50代以上の人は塩分を控える意識は高いものの、実際は目標に達していないといえる。塩分の過剰摂取を避けるためには、上手に減塩商品を活用することが大切だ。かつて減塩商品は味が薄そうといったイメージがあったが、技術革新により風味は向上し、利用する人も増えている。

健康的な食事のイメージ
コロナ禍を経て生活者の健康意識がますます高まり、高血圧などの生活習慣病の予防や対策として、減塩商品を取り入れる人が増えているようだ(i-stock/west)

 KSP-POSデータによると、加工食品の減塩・塩分控えめ商品は、2023年4月以降金額ベースで前年比プラスで推移。ただ、数量ベースはマイナスになっていることから、値上げによる影響が考えられる。

 図表①の分類別の金額構成比トップ3は、これまでと変わらず「インスタント味噌汁・吸物」「醤油」「味噌」。「インスタント味噌汁・吸物」は前年を上回る月が多いが、値上げの影響と考えられる。そのほか、「蒲鉾」は2月以降前年割れが続いており、「納豆」は22年11月~23年8月まで2ケタ増が続く。両カテゴリーとも減塩商品が少数のため、その商品の好不調に左右されるところが大きいようだ。

減塩商品金額推移(全国)
図表①減塩商品金額推移(全国)

 図表②の売上ランキングでは、1位がマルコメの「丸の内タニタ食堂の減塩みそ」、2位が雪印メグミルクの「北海道バター食塩不使用」、3位と4位がキッコーマンの「いつでも新鮮味わいリッチ減塩しょうゆ」で、上位に大きな変動はない。5位には味の素の「お塩控えめの・ほんだし®」が入った。同社では、旨味やだしをきかせた“おいしい減塩”「Smart Salt(スマ塩)」プロジェクトを展開し、減塩食品の浸透を図っている。日常的に使用する味噌や醤油、バター、風味調味料などが上位を占める結果となった。

減塩商品売上ランキングトップ10(2023年10月全国)
図表②減塩商品売上ランキングトップ10(2023年10月全国)

 減塩商品というと調味料や加工食品が先行しているが、近年は炒飯やラーメンなど主食系でも広がっている。味の素冷凍食品では、独自の減塩技術により塩分を40%カット(従来比)し、おいしさと減塩を両立させた「白チャーハン」を発売した。また、サンヨー食品は、ロングセラーの袋麺「サッポロ一番」シリーズから塩分25%カット(従来比)した減塩タイプの商品を発売している。減塩商品のバリエーションが広がっていることから、店頭でも露出を図り、トライアルを獲得していきたいところだ。

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