食品小売で一気に進む!競争に巻き込まれない新しいPB戦略とは?
「SPAでなければ生き残りは難しい」
「今後は、SPA(製造小売)化していない食品小売が生き残るのは難しい」──。
本特集の取材でそう語ったのは、大手 CVS、大手SMで長年にわたり商品開発を手がけてきたEnjin Plus代表の近野潤氏だ。
昨今、小売業界ではSPA型の商品開発を進める企業が快進撃を続けている。その代表格が、「業務スーパー」を展開する神戸物産(兵庫県/沼田博和社長)だ。同社のPBは自社グループの工場で製造する商品と、海外からの直輸入商品で構成される。とくに自社工場のPB商品はNB、他社PBにはないユニークな商品が多く、消費者の支持も厚い。
親会社のOICグループ(神奈川県/髙木勇輔代表)がイトーヨーカ堂(東京都/山本哲也社長)の撤退店舗を承継するなど、今年も業界関係者の注目をさらうロピア(神奈川県/髙木勇輔社長)も SPAを志向する企業の1つだ。同社は近年、M&A(買収・合併)で食品メーカーや卸を傘下に次々とおさめることで製造機能をグループ内に取り込んでいる。そうして生み出された尖った商品を、現場主義が徹底された現場で売り込み、顧客の反応をフィードバックし、さらなるブラッシュアップにつなげることで商品力に磨きをかけている。
他方、ローカルとの強い結びつきにより、圧倒的な独自性を実現しているのがツルヤ(長野県/掛川健三社長)だ。同社は地域の生産者やメーカー、ときにはベンチャー企業などと連携することで、「長野県産」を切り口とした、他社にはない高い独自性を持ったPB商品を生み出している。取引先の中には、40年以上にわたり共同で商品開発をしている企業もあるという。ツルヤは自社で製造機能を持っているわけではないため、厳密な定義でいうところの SPAではないものの、中堅・中小規模のチェーンでも取り組み可能なSPA型の商品開発という意味で参考にされたい。
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