一部店舗でテスト販売中の「セブンカフェティー」が女性客に人気

文:松岡 由希子 (フリーランスライター)
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セブン-イレブン・ジャパン(東京都/永松文彦社長:以下、セブン-イレブン)のFF(ファストフード)が進化を続けている。

同社では定番の磨き込みを進めると同時に、スムージーやカレーパンといった新たな看板商品が育っており、足元では焼き菓子や店内焼成のパン、紅茶などこれまでのFFカテゴリーには存在しなかった新機軸の商品の実験が進行中だ。

セブン-イレブンではどのような考えのもと、FF開発を推し進めているのか。担当者を取材した。

スムージー、カレーパン新たな商品の育成進む

 セブン-イレブンでは、FFを加盟店の売上と利益の両面に貢献する重要なカテゴリーと位置づけている。顧客接点の増加につながりやすい商品を積極的に推奨することで、新たな客層を着実に取り込み、売上増につなげてきた。

 セブン-イレブンで商品本部FF・冷凍食品部シニアマーチャンダイザーを務める米田昭彦氏は「顧客接点を増やす商材が少しずつ育ってきている」と手応えを語る。

 その代表的な商品が「セブンカフェ スムージー」だ。専用マシンで提供する同商品は2024年8月時点で約1万8000店に導入され、日販(1日の売上高)を導入前から0.6%押し上げる効果を創出している。

セブン-イレブン松戸常磐平駅前店外観
店内で焼いたフィナンシェやクッキーなどの焼き菓子が好調な「SIPストア」(セブン-イレブン松戸常磐平駅前店)

 22年に全国で発売した「お店で揚げたカレーパン」も、23年の年間累計販売数がギネス世界記録に認定されたことで話題を集めた。総菜やスナックといった従来の位置づけにとどまらず、間食ニーズをうまく取り込んだことで大ヒットにつながっている。

 この「お店で揚げたカレーパン」で構築した店舗内のインフラを活用し、24年9月には「お店で揚げたドーナツ」を東京都、千葉県、埼玉県の約5000店舗で発売した。セブン-イレブンでは10年前にもドーナツを販売していたが、出来たてのおいしさを実現できなかったことを理由に販売を終了した経緯がある。

 “再参入”となったドーナツは以前まで工場で揚げたものを販売していたが、店内の専用フライヤーで揚げることで出来たての状態で提供する。再発売後はとくに若い有職女性から支持を集め、好調に推移しているという。

お店で揚げたカレーパン

お店で揚げたカレーパン 断面
「お店で揚げたカレーパン」は23年の年間累計販売数が約7700万個に達し、ギネス世界記録に認定された

 また、24年2月に開業した新コンセプト店舗「SIPストア」(セブン-イレブン松戸常盤平駅前店)では、店内で焼き上げたパンや焼き菓子などの新商品を導入し、新たな客層の取り込みにつなげている。

 新商品の中では

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松岡 由希子 / フリーランスライター

米国MBA 取得後、スタートアップの支援や経営戦略の立案などの実務経験を経て、2008年、ジャーナリストに転身。食を取り巻く技術革新や次世代ビジネスの動向をグローバルな視点で追う。

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