売上高1兆円超え!イオンのPB「トップバリュ」はなぜ快進撃を続けるのか
イオン(千葉県/吉田昭夫社長)グループのプライベートブランド(PB)「トップバリュ」が拡大を続けている。2023年のリブランディング以降、節約志向の高まりに対応する低価格戦略と、市場に存在しない独自価値の追求の2軸で商品開発を進めてきた同社。
今期(26年2月期)もその路線は継続し、2500品目を新商品またはリニューアルで投入、さらなる支持獲得をめざすとしている。
低価格を実現する企業努力を継続
イオングループは3月上旬、トップバリュの新商品発表会を開催し、24年度(25年2月期)のトップバリュの売上高が1兆800億円となる見通しだと発表した。23年度の売上高は1兆10億円で、前年度から7%強増えることになる。
このうち全体の半分近くを占めるのが、低価格ラインの「トップバリュ ベストプライス」(以下、ベストプライス)だ。ベストプライスの売上高は24年1月までの累計実績で2ケタ増の伸びを見せており、利益高も同10%超増、利益率は前年から0.6ポイント改善した。
メーカー各社の食品値上げが始まった21年度と比べると、ベストプライスの売上は約5割増えている。

発表会では、25年度の売上高目標も発表され、1兆2000億円という数字が示された。前年度から11%成長する計画だ。この達成に向け、25年度方針に掲げるのが「お客さまがもっと『ワクワクする』商品の創造」。「トップバリュがあるからイオンに買物に行く」というお客の流れをつくりたい考えだ。
具体的な施策は、前年度と同じく「価格戦略」と「価値提供」の2本柱。まず価格戦略では、低価格を実現する企業努力を継続する。たとえば、24年11月に発売した粉状のコーンポタージュでは、個包装の小袋をチャック付きの大袋に改め、スプーン1杯当たりの単価を10円引き下げた。
サラダ油は製造拠点を全国に複数配置し、近い工場から輸送することで物流コストを削減した。こうした改善をさらに増やす。
味や品質の改善にも取り組む。トップバリュの企画・開発を手掛けるイオントップバリュ(千葉県)の土谷美津子社長は「ただ安いだけではなく、消費者ニーズを満たすにはおいしいということが何よりも大事だ」と話す。
もう1つの価値提供では、主力ブランド※の「トップバリュ」を中心に、トップバリュにしかない独自価値の提供に努める。短期間で売り切る季節品や地域のローカル商品といった新しいカテゴリーの開発を進めるとともに、イオントップバリュの海外子会社などで開発した海外開発商品を強化する。
環境への取り組みでは、「トップバリュ グリーンアイ」を中心に市場で主導権を握りたい考えだ。
※編集部註:イオンでは2023年にトップバリュブランドをリブランディングし、メーンブランドの「トップバリュ」、低価格型の「ベストプライス」、環境配慮型の「グリーンアイ」の3ブランド体制としている
2500の新商品を投入、新機軸商品が続々登場
25年度は、2500品目を新商品または既存商品をリニューアルして発売する計画だ。新商品やリニューアル商品で2500品目を投入するのは、リブランディングを実施した23年度から3年連続となる。
イオントップバリュ取締役商品開発本部長の髙橋幹夫氏は「7500~8000品目のうち約3分の1の商品を毎年変えることで、お客さまの支持をさらに高めることを重視している」と話す。
今春もすでに新商品が続々と発売されている。その1つが、
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