おでん、スイーツ、名脇役に名店の味・・・この秋冬、日配部門を徹底的に活性化する手法を徹底解説!

文・解説=伊東正寿(ITOU企画代表/独立行政法人 中小企業基盤整備機構 九州本部中小企業アドバイザー)
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コロナ禍で「巣ごもり需要」や「お取り寄せ需要」が伸びているが、日持ちのしない日配品はその恩恵を受けにくいのが現状だ。昨年は免疫力強化が期待される納豆やヨーグルトなどの売上が飛躍的に伸びたが、今年は苦戦している。こうしたなか日配部門はどのように対策すればよいのだろうか。コロナ禍を踏まえ、夏の間に準備すべき秋冬の戦略について提示したい。

インスタグラムでの情報発信を強化

 当社が福岡県を中心に2021年5月に実施したウェブアンケートによると、コロナ禍で頻度が増えた生活様式の第1位は「自宅で食事をする」(76.2%)、第2位は「S N S・動画配信を見る」(54.9%)で、「スーパーマーケット(SM)に行く」は、第6位で28.6%にとどまっている。また、「EC を利用する」は29.6%で「SMに行く」より順位が高い。

SNSのイメージ
日配部門は、地元メーカーと協力し、ときにはSNSも活用しながら、まずはSM、そして日配売場に足を運んでもらえるような情報発信が重要だと筆者は考える。 i-stock/bombuscreative

 コロナ禍で利用者が増えたSNSは、とくにZ世代・ミレニアル世代でその傾向が強く、動画配信を除くSNSの1日当たりの利用時間は、全世代では「3時間以上」が35.5%である一方、Z世代では53.6%、ミレニアル世代は「1時間~3時間」が50%となっている。今回はまず、今後の消費の中心となるZ世代・ミレニアル世代へのアプローチについて考えたい。

 若年層において、断トツで利用頻度・時間が多いSNSがインスタグラム(Instagram)だ。「1時間以上」利用する割合は、Z世代が64%、ミレニアル世代が34.6%である一方、40代は5.6%となっている。なお、ミドル世代以上に人気が高いフェイスブック(Facebook)を利用する若者は少なく、「まったく利用していない」割合がZ世代は84.5%、ミレニアル世代は23.1%となっている。

 このような傾向を踏まえ、地域商品を取り扱うことが多い日配部門は、地元メーカーと協力し、ときにはSNSも活用しながら、まずはSM、そして日配売場に足を運んでもらえるような情報発信が重要だと筆者は考える。

 たとえば、Z世代やミレニアル世代に支持の高いカテゴリーの1つであるスイーツでは、単に地域の有名なシェフのスイーツを販売するのもよいが、今はコロナ禍で顕在化した新たな生活様式を軸に考えたい。夏のこの時期から、年末・クリスマス商戦を迎える冬に備えて、地域のスイーツ専門店とコラボした「自宅で手づくりスイーツキット」の開発に着手し、SNSで若い世代にアプローチするのはどうだろうか。

 果物の産地として有名な福岡県うきは市にあるスイーツ専門店「miel」では、「イチゴタルト手作りキット」(写真 税抜3000円)が200セット即完売となった。今後はうきは市で秋ごろから旬を迎えるシャインマスカットや桃を使いSMと連携して商品開発し、インスタグラムで情報発信する戦略を採る計画だ。このように、まずは若い世代に来店してもらい、日配売場に興味を持ってもらうための商品開発やSNSを活用した情報発信に取り組んでもらいたい。

情報収集手段としてもSNSを活用

 インスタグラムは最新のトレンドを把握するうえでも役立つ。コロナ禍では工場視察や商談、展示会が制限され、

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