コロナ禍、消費者の変化に店は対応できているか? 2021年下期、食品スーパーの販促のやり方とは
コロナ禍で生活者の消費行動が変化しつつあるなか、ハレの日など催事における食品小売各社の戦略と実際の生活者のニーズとの間にズレが生じ始めている。クリスマスや年末年始などハレの日が多い下期にこそ、従来の販促施策と伝え方を見直し、アフターコロナでも繰り返し生活者に利用してもらうための戦略づくりが必要だ。
従来の販促施策を見直す時期
下期は上期に比べて大型のハレの日が多い。とくにクリスマス・年末年始は重要度が高く、この時期に向けた営業計画を組み立て、その後、春商戦に向かうというのが従来の流れだ。しかし、こうした特定の期間だけにフォーカスするだけではなく、コロナ禍が続くなか、現在の生活様式が定着しハレの日の過ごし方が大きく変わりつつあることを考えて戦略を練らなければならない。
今後、小売各社は販促においてどのように対処していくべきか──。従来型のハレの日販促で「定番商材」を価格訴求し、店内をいつもの装飾物で展開してそこそこの売上を確保する。あるいは、自分の店舗もしくは企業が、お客にどのように役に立つのかを考え、それを商品、価格を通じて伝える工夫をして、生活者の味方であることを訴求する。筆者は、未来の売上につながる後者に取り組むべきだと考える。
現在はコロナ禍が続くなか、従来のハレの日に対する小売業の計画と、変化しつつある生活者の消費行動とのズレが広がり、店舗の売場での提案が徐々にかつ大きく乖離しているように感じる。もう1年以上、「お家ごはん」が日常となっており、週末を含めて、生活者は食べたいものをいつでも食べられるので、「ハレの日には特別なものを食べる」という消費行動は少なくなっているのではないか。もはやハレの日に求める期待感は薄まっているように思える。実際、当社が調べたところによると、昨年来のハレの日の過ごし方に変化(曜日与件の影響もあることが前提)がみられる。当日の食卓の在り方と、その前から準備されるギフトや酒類などの買われ方が変わり、催事にかける時間と消費金額などが顕著に変化してきている。
失礼ながら指摘すると、食品小売各社のハレの日に向けた商品政策・販促は、「焼き肉」「ステーキ」「刺身」「寿司」などの定番商品を主軸に据えたものが多く、ふだんより単価を上げ、量目を増やし数値を確保しているだけのように感じることは少なくない。確かに、このような「ハレの日販促・重点単品」は、以前はそこそこの成果を上げられていた。しかし、現在の状況を見るに、このようなことを繰り返す商売、そしてその延長線上の施策では、未来は決して明るくない。アフターコロナを見据え、ふだんより客数が伸びるハレの日が多い今年の下期こそ、新たな販促戦略を考えるタイミングにふさわしい。
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