有力企業がすでに実践!コロナ禍でも、総菜の売上を伸ばせる理由と伸ばし方
新たなニーズに対応しきれているか?
こうした環境変化により、売上が振るわない総菜部門だが、SM全体の業績は伸びているのだから、とくに問題視する必要はないという見方もあるだろう。
しかしフードコンサルタントの池田恵里氏は「総菜部門はSMの重要部門であり、売上減を見過ごすべきではない」と指摘する。その理由は、総菜はSMのなかでも企業の“儲けの源泉”とも言われる粗利益率の高い商材の1つだからだ。
また総菜部門は、他社との差別化にも有効な存在と言える。他部門と異なり、商品一つひとつの企画や設計まで各社で工夫を施せるため、店舗間競争が激化するSM業界において、価格競争に陥ることなく、独自性を発揮できる貴重な部門とも言えるだろう。
加えて、総菜部門の売上が振るわないのは、新たに生じている総菜ニーズに対応しきれていないからだという指摘もある。レシートデータによる消費動向リサーチを行うソフトブレーン・フィールド(東京都)の調査結果では(82・83ページ参照)、コロナ禍で消費者の買物の購買頻度は減っているものの、買物時の総菜の購買頻度については「変化なし」との回答が約7割に上ることがわかった。
加えて、世帯人員数が3人以上のファミリー世帯では総菜の購入頻度が「増えた」と回答する人が多くなる傾向もあり、その理由としては「外食気分を味わう」という声が最多で、これまでにない目的が生じているという。
さらにファミリー世帯においては「家庭での調理の負担が増えたため、これを低減したい」という理由もあがっているという。実際、料理レシピ投稿・検索サービスのクックパッド(東京都)が3月に実施した「臨時休校に伴う家庭の料理負担の実態調査」では、小中高校に通う子供を持つ親の約8割が、コロナ禍で家庭での料理の負担が「増えた」と回答している。この負担増に対してSMの総菜が果たせる役割はありそうだ。
このように、総菜に対するニーズはかたちを変えて存在しており、それにさえ対応できればコロナ禍で縮んだ総菜の売上を伸ばせると考えられる。
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