発表! ストアオブザイヤー2025&「今、行くべき店」を編集部が厳選!

上林 大輝 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集者)
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昨今、小売企業の運営には逆風が吹いている。原材料費や光熱費の上昇により各種コストは膨らみ、ECやネットスーパーなどのチャネルを超えた競争が過熱。同時に、度重なる値上げラッシュにより消費者の節約志向は高まり続けており、小売業にとって収益確保は難しさを増している。そうしたなか本特集では、新しい店づくりに果敢に挑戦している「今、行くべき」店を挙げ、解説する。パート1では「STORE OF THEYEAR 2025」の入賞店舗を掲載、パート2では業界の注目テーマに沿って、その先端をいく16店を厳選し紹介する。

関西1号店でオーケーが連覇!マミーマート、ヤオコーが続く

 原材料費や光熱費の上昇、それに伴う物価高による消費マインドの低下は、小売企業にとって深刻な問題となっている。消費者の節約志向がいっそう高まる中、食品で価格を強く訴求するディスカウントフォーマットやドラッグストアなどが勢力を拡大。また、コロナ禍で需要が急増した食品EC市場も依然として拡大傾向にあり、業態やチャネルを超えた競争が熾烈化している。

 この激戦を勝ち抜き、生き残っていくには、これまで以上に自社ならではの強みを発揮し“選ばれる店”になる必要がある。品揃えや価格、店づくりによって、ほかにはない買物体験を提供し来店動機をいかに創出するか。本特集では、そうした店づくりのヒントを提示したい。

 まず、パート1では今年で38回目を迎えた本誌恒例企画「STORE OF THE YEAR」で入賞を果たした店舗と商業集積、専門店・新業態を発表し、評価を得た理由を解説していく。

 今回、栄えある1位に輝いたのは、オーケー(神奈川県)の記念すべき関西1号店「オーケー高井田店」だ。オーケーは前回(2024年)も「オーケー銀座店」で1位を獲得しており、2連覇の快挙となった。

オーケー高井田店
店舗部門1位の「オーケー高井田店」

 同店は、関東で確立しているオーケーの“基本スタイル”を全面踏襲したものとなっている。ときにはネガティブな情報も盛り込むオーケー名物の「オネストカード」も健在だ。一方、部分的にローカライズを志向し、関西ならではの“粉もの”メニューを店舗限定メニューとして展開する。

 オーケーは今後、兵庫県と大阪府で複数の出店計画を発表している。関西市場深耕の足掛かりとなる高井田店への業界関係者の注目度はやはり高かった。

 2位は、マミーマート(埼玉県)の「生鮮市場TOPコーナン京葉船橋インター店」だ。「生鮮市場TOP!」は同社が出店拡大を進める生鮮強化型フォーマットの1つ。幅広いラインアップと鮮度の高い生鮮食品を低価格で訴求する強力なフォーマットに評価が集まった。

 僅差で3位となったのが、ヤオコー(埼玉県)の「ヤオコー久喜吉羽店」だ。同社が推進する「南北政策」における北エリアの新たな旗艦店として注目を集め、バイオーダーのグローサラントを店内に導入するなど、特徴的な店づくりに票が集まった。

 ほかにも10位以内では、「サミットストアエミテラス所沢店」(4位)や「スーパーマーケットバロー多治見店」(10位)など上位常連の有力スーパーが実力を見せたほか、「ロピア五所川原店」(6位)や「MEGAドン・キホーテ成増店」(8位)など、価格競争力の高いSMやDSの新店舗には多く票が入り、業界関係者による注目度の高さがうかがえる。

 また、「オーケー高井田店」の競合店で、同店の開店に先んじて大規模改装した「ライフ高井田店」(5位)や、「万代住之江公園店」(7位)など、関西圏の店舗も上位にランクインしており、関西市場に注目が集まった一年ともいえる。

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記事執筆者

上林 大輝 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集者

2000年生まれ。埼玉県出身。法政大学文学部英文学科卒業後、地方新聞社の営業職を経て株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。

流通小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部で執筆・編集を行う。

趣味はお笑い鑑賞、音楽鑑賞。一番好きなアーティストは椎名林檎。

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